ソフトB山田、“工藤のススメ”で1勝 試合中に独自調整「監督に言われて」
新婚左腕、妻に捧げるウィニングボール「僕1人の人生ではないので」
この日の試合中、左腕は変わった取り組みを取り入れた。
通常、ベンチ前で行うイニング間のキャッチボールを、3、4回の攻撃時はブルペンで行った。発案者は工藤公康監督。「平らなところでキャッチボールしてマウンドに行くと、ボールが高くなる。ブルペンでキャッチボールをした方が、そのまま投げられるだろうと。傾斜ですね。傾斜で投げた方がスムーズに行くだろう」と狙いを指揮官は明かした。
「監督に言われて、そうしました。外でキャッチボールをやるより良かった。お客さんもいなくて静かなので」と左腕は言う。3回まで75球だった球数は、4、5回の2イニングで25球。効果はあったようだ。
昨年7月に入籍し、オフに挙式したばかりの新婚。「僕1人の人生ではないので。嫁さんの分もしっかりやらないといけないな、と。だから、みすみすチャンスを逃すことは出来ないな、と思っていました」
決して、自らに満点をあげられる投球内容ではなかった。それでも、山田にとって大きな1勝に違いはない。2軍でチャンスを待ち続けていた今季。ようやく手にしたウイニングボールは、夫人に贈る。
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福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani