「最低限の仕事」を高確率で遂行 交流戦初“3連覇”ホークス強さの秘密
他球団の関係者も評価する練習の「姿勢」
12日の阪神戦(ヤフオクD)で8回に適時打を放った今宮は、続く柳田の左中間を破る二塁打で一気に本塁を陥れる好走塁を見せ「それがホークスの野球。やり抜いたら、最後にはきっといいことがある」と語っていた。18日の広島戦(マツダ)では田中が落球したフライ(記録は内野安打)を打った松田は、一二塁間で挟殺されたのだが、試合後には「二塁まで行こうと思って走っていた」と語った。結果が出た後の「たら・れば」は意味を為さないが、結果が出るまでに起こり得る「たら・れば」を想定して、その時その時で可能な限り全力を尽くしていることが、よく分かる。
練習に取り組む姿勢にも、それがよく表れる。試合前に行われるソフトバンクの練習には、日々、同じようなメニューの繰り返しとなるにも関わらず、張り詰めた空気がある。ただのウォーミングアップにすることなく、ノックを受ける選手たちは真剣であるし、フリー打撃にも熱がこもっている。プレーボール直前に行われるシートノックでもそうだ。松田を筆頭に声が盛んに出るし、集中して取り組んでいることを感じさせられる。ある他球団関係者も、その姿勢、空気を高く評価していた。
サッカーの世界にはなるが、元日本代表監督の岡田武史氏は「勝負の神は細部に宿る」と事あるごとに選手たちに説いていた。先に記した巨人戦。江川、中村晃が空振り三振やフライに倒れていたら、得点には繋がらなかったかもしれない。進塁打、1つ前を狙う走塁、野球というスポーツの性質上、ミスや失敗は起こるものではあるが、ソフトバンクの選手たちはやるべき最低限の仕事を高い確率で遂行する。「細部」に手を抜かないからこそ、ホークスは白星を重ねられるのではなかろうか。
【了】
福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani