躍進する若手才能集団アストロズ、「チームを引き締めた」存在とは
アストロズに足りなかったピース、「チームを引き締めた」存在とは
混戦になるかと思われたア・リーグ西地区で、アストロズは2位以下に10ゲーム以上の差をつけて、首位を独走している。22日(日本時間23日)には今季50勝にメジャー30球団で一番乗り。2011年から3季にわたりシーズン100敗以上を記録したチームは、見事立て直しに成功した。
弱さを極めたからこそできた再建とも言える。MLBドラフトは完全ウェーバー制のため、前年の成績が悪かった順に指名できる。アストロズは2012年から3年連続でドラフト全体1位指名権を獲得。2012年ドラフト1巡目(全体1位)指名で入団したのが、今ではチームの中核を担う遊撃コレアだった。
同年の1巡目補足指名(同41位)が右腕マッカラーズ、2014年の1巡目補足(同37位)が外野手フィッシャー、さらに2011年1巡目(同11位)が中堅スプリンガー、2015年1巡目(同2位)が三塁ブレグマンであることを考えると、ドラフトと育成の持つ重要性、完全ウェーバー制のドラフトが球界にもたらす戦力の均一化が見えるだろう。
前年に球団新記録となる225安打を放ったアルトゥーベに加え、野手ではスプリンガーやコレア、投手ではカイケルやマキュー、マッカラーズらが頭角を現した2015年。アストロズは86勝76敗の成績で2008年以来7年ぶりに勝ち越し、ワイルドカード2位としてプレーオフ進出を果たした。一発勝負のワイルドカードゲームではヤンキースに勝利したものの、地区シリーズでロイヤルズに惜敗。若手有望株がひしめくアストロズの時代が到来したことを知らしめた。
だが、2016年にちょっとしたつまずきが訪れる。84勝76敗と2年連続で勝ち越したものの、地区3位でプレーオフ進出を逃した。連勝もするが連敗もする。大勝もすれば大敗もする。いかに連敗を減らすか。いかに個々の選手がスランプを減らせるのか。若手才能集団に足りなかったもの――。それは彼らが目指すべきベテランの存在だった。