今でもシカゴで愛される男、ロッテ井口の功績 「彼は特別な存在」
渡米1年目から献身プレーで貢献「彼がいたから世界一になれた」
シカゴ・ホワイトソックスの本拠地内にある球団事務所には、今でも2005年に在籍した井口資仁内野手の写真が数多く掲示されている。一つや二つではない。至るところに誇らしげに写真は飾られている。事務所内の会議室、廊下、球場内コンコース、記者席。チームを88年ぶりの世界一に導いた栄光のメンバーの一人である日本人の偉業をたたえている。
「彼は特別な存在だ。なにしろ88年ぶりの世界一に導いたメンバーの一人だからね。彼が在籍をしてくれたことは、とてもいい思い出だし、誇らしい事だ。当時の我々はとてもいい補強をすることができたと思っている。ホワイトソックスの人間は今でも彼の事をハッキリと覚えているよ」
ホワイトソックス関係者はそう言って当時を懐かしむ。あれは2005年4月4日。アメリカ国歌が流れ、フィールド全体を覆うような巨大な国旗が登場した。空には空軍のジェット飛行機が飛来し、開幕の時が来たことを祝った。どこまでもスケールの違うアメリカの開幕戦。井口はこの舞台にたどり着いた事を強く実感し、感動を覚えた瞬間だった。
「初めての開幕戦は度肝を抜かれたね。ついにこの舞台に立つことが出来るのだという感動というか、涙が出そうになるぐらいの特殊な感情に包まれた」
2005年4月4日、USセルラー・フィールド(現ギャランティード・レート・フィールド)でのクリーブランド・インディアンス戦。名門・ホワイトソックスの一員として井口は開幕戦を2番・セカンドで迎え、メジャーデビューを果たした。1回裏、ホワイトソックスは先頭のポセドニックがサードゴロに倒れ、1死走者なしで井口に初打席が回る。「最初から積極的に打っていこうと思った」と振り返るように、初球は真ん中の球を強振するも空振り。1ボール2ストライクからの4球目、真ん中低めの鋭いカーブにバットが空を切り、空振り三振に倒れた。この日はその後、三邪飛。三ゴロ、三ゴロ。デビュー戦、チームは勝利したものの4打数ノーヒット。初ヒットは4月6日に行われた第2戦までお預けとなった。