今でもシカゴで愛される男、ロッテ井口の功績 「彼は特別な存在」
日米で培った「大きな財産」、引退後も経験を生かす意向
巨大都市シカゴは熱狂の渦と化した。ファンの祝福の嵐。さらに井口にとってうれしい出来事があった。ギーエン監督が「MVPは井口。彼がいたから世界一になれた」と称賛。翌年の春季キャンプでは70人の選手が集まったミーティングで当時のGMが「日本で30本塁打を打つような選手がこんなに献身的なプレーをしてくれている。この精神は称賛に値する」と全員の前で絶賛。目に見えない献身的なプレーが評価されたことがたまらなくうれしかった。選手冥利に尽きる言葉が胸に染みた。
「いろいろな監督の下で野球を出来た。いろいろな選手と対戦し、いろいろな選手と一緒にプレー出来たのは自分にとって大きな財産。勉強をさせられた。引退をしてからもこういう経験をしっかりと生かして野球のために尽くしていきたいと思っている」
アメリカで過ごした4年間で3つのチームでプレーをして2つのチャンピオンリングを手にした。なにものにも代えられない大きな財産を胸に、井口は2009年1月25日、マリーンズのユニホームに袖を通した。複数球団が獲得に向けて競合する中で、現役メジャーリーガーは「千葉ロッテマリーンズが強くなるためのピースになりたい」と新たな新天地に千葉を選んだことは当時、衝撃的なニュースとして取り上げられた。
あれから8年。その背中に多くの選手が憧れ、目標にし続けてきた。そして6月20日、背番号「6」は今季限りで現役を引退することを表明した。メジャーで世界一、日本ではホークスとマリーンズで日本一を経験した男は多くの喜びと栄光と共にユニホームを脱ぐ。今でもなおシカゴの英雄として扱われるほどのマリーンズの誇るレジェンドをグラウンドで見ることが出来るのは今年限り。そのプレーのすべてを目に焼き付けたい。
(記事提供:パ・リーグ インサイト)
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マリーンズ球団広報 梶原紀章●文 text by Noriaki Kajiwara