元燕バーネット、今も抱く伊藤智仁コーチへの感謝「巡り会い、成長できた」
右腕を開眼させた伊藤コーチ、片言の日本語と英語で交わした野球談義
ダイヤモンドバックス傘下マイナーでは、なかなかメジャー昇格のチャンスに恵まれず。何か変わるきっかけになれば、と飛び込んだNPBでは、言葉や食生活、いろいろな違いに戸惑うこともあった。家族から離れて暮らすことで、今までにはない角度から人生を見つめる機会にも恵まれた。だが、ピッチャーとして自分が為すべきことは1つ。どうやったら打者を封じ込めるか、どうやったら投手として成長できるのか。異国の地で試行錯誤するバーネットに、とことん付き合ってくれたのが伊藤コーチだった。
「よりクオリティの高い投手になるために、自分の中に眠っていた資質を引き出す手伝いをしてくれた。ここに投げろ、あそこに投げろって指示するだけじゃなくて、1球1球投げるたびに、こうしたらもっとよくなる、ああすればどうだって、検討してくれたんだ。
精神的な面においても、先のことや後のことを考えずに、今この手に握っている1球に集中すること、そこにベストを尽くすことを教えてくれたよ。
僕がどんな疑問を持っても、それが解決するまで何時間でも話に付き合ってくれて……。今まで、そんな風に付き合ってくれたコーチはいなかったんだ。今自分がこの舞台にいられるのは、イトウさんのおかげ」
ピッチングについて熱い議論を戦わせる2人。その間に入って互いに説明する通訳は大変だったろうと思いきや、「途中からは通訳なしで2人っきりで話すようになったんだ」と振り返る。
「お互いに片言の日本語と英語を駆使しながら、ああでもない、こうでもないって議論を重ねたんだ。できるだけシンプルな言葉でボディランゲージを交えながら。いわゆる言葉は通じなくても、野球という共通言語を持っているし、野球に対するアプローチが同じだったからこそ、イトウさんとはそういう話し合いができたと思う」