タイトル獲得がスターへの登竜門、パ・リーグ過去10年の新人王たちの現在

第4回WBC出場のロッテ石川は開幕直後の不振から復調傾向

○石川投手
今季成績:9試合1勝7敗、50回2/3、43奪三振、防御率4.44

 150キロ前後の速球と特徴的なシンカーが武器の右腕は、ルーキーイヤーに見事2桁勝利を達成。10勝目となった10月1日の埼玉西武戦では初完封までも記録した。翌年も12勝を挙げ、エースの涌井投手とともに二枚看板として千葉ロッテの屋台骨を支える。2016年には自己最多となる14勝に加え、防御率2.16で最優秀防御率のタイトルも獲得するなど、着実にステップアップしてきた。

 しかし、侍ジャパンに選出され、第4回「ワールド・ベースボール・クラシック」を経験した今季は、開幕から不調に苦しむことになる。2軍での再調整を経て復帰してからは、6月13日の横浜DeNA戦では7回1失点、9奪三振の好投で、待望の今季初勝利を手にするなど、6試合中4試合で7回を投げ切り、4試合連続で与四球0と、本来の投球を取り戻しつつある。

 開幕から数試合の不振は、制球の乱れに原因があった。昨季160回以上を投げわずかに22個だった四球が、今季は5試合に登板し24回1/3を投げた時点ですでに15個。昨季までの安定したコントロールからは想像もつかない数字になっていた。しかし、ここ4試合では本来の実力を発揮しつつあるだけに、今後の登板に期待がかかる。

○有原投手
今季成績:12試合5勝5敗、77回1/3、26奪三振、防御率5.00

 2014年にトップレベルの評価を受けて入団したドラフト1位右腕は、翌2015年の開幕こそ2軍スタートだったものの、5月に初登板を飾る。9月5日のオリックス戦で早くもプロ初完封を果たすなどして8勝を挙げ、見事に新人王の称号を獲得した。「2年目のジンクス」も噂される中、昨季はさらに投球のレベルを上げ、自慢の速球を武器に11勝、さらには自身初の規定投球回到達も達成した。

 エースとしての自立と活躍が期待された今季だったが、開幕戦から4連敗を喫するなど、苦難のシーズンとなっている。しかし、調整後の6月18日の登板から、3試合連続でハイクオリティ・スタート(7回以上を投げて自責点2以下)を達成し、その間は2勝0敗と本来の調子を取り戻しつつある。6月30日の千葉ロッテ戦では、8回を1失点に抑える今季のベストピッチを披露した。

○高梨投手
今季成績:16試合3勝7敗、76回1/3、67奪三振、防御率3.89

 プロ1年目の2014年は1軍登板なしに終わり、2年目も2試合、7回1/3とわずかな登板機会にしか恵まれなかった。しかし、昨季は中継ぎとして開幕1軍入りを果たすと、6月上旬までに23試合に登板し、防御率1点台と好投を披露。6月8日にプロ2試合目となる先発登板のチャンスをつかむ。ここから先発ローテーションに定着すると、プロ初の完封勝利を含む10勝を挙げ、チームの日本一に大きく貢献。プロ入り3年目での新人王に輝いた。

 先発の一角として期待された今季は、開幕ローテーションに入ると5月2日の千葉ロッテ戦で今季初完封を挙げる。しかし、以降は打ち込まれる試合が続き、再び中継ぎへと配置転換。4試合で5イニングス無失点と好投を披露し、有原投手の離脱にともなって6月2日に先発に復帰した。

 今季の序盤は「2年目のジンクス」ならぬ「新人王受賞翌年のジンクス」に陥ったかに見えた高梨投手。チームは先発の立て直しが急務なだけに、高梨投手のこれからの登板に期待したい。

 今季も、開幕から先発ローテーションを守り通すオリックスの山岡投手や、正遊撃手の座を早くも手中に収めた埼玉西武の源田選手など、様々なルーキーが虎視眈々とその称号を狙う「新人王」。今季、この賞を手にするのは誰になるか。そして、過去の「新人王」達はどのような活躍を見せてくれるか。そのどちらにも注目していきたい。

【動画】ライオンズ・源田が守備でファインプレー!

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