17年前の決勝と同じ光景…春日部共栄、4強サヨナラ敗退も「100点あげたい」

好ゲームの後に指揮官が発した言葉「やらされた練習ではうまくなりませんから」

 春日部共栄のベテラン本多利治監督は、公式戦初先発の大役を担った2年生左腕・大木喬也を褒め抜いた。浦和学院の強力打線を相手に9回1死まで4安打2失点の好投。先発を告げたのは試合当日だが、指揮官は4月にはこの準決勝に照準を合わせ、大木の登板を決めていた。

 春季大会4強。「順当に勝ち上がれば(春、決勝進出の)浦和学院か花咲徳栄と当たることになる。両チームとも左打者がズラリ並ぶから、大木を鍛え上げることだけに力を注いだ」と温めていた戦略を明かした。

 夏に向け、課題の制球力を安定させ、変化球の切れに磨きを掛けることだけに専心させた。2回にソロ本塁打、5回に内野手の失策が絡んで計2失点したが、連打は1度も許さなかった。9回に先頭打者に痛打され、送りバントで1死二塁となったところでエース高橋大地(3年)にマウンドを譲った。

 大木は「初回に先頭打者を打ち取ったら緊張も取れて、腕をよく振れました。でも(完投できず)高橋さんに回してしまって申し訳ない。来年はウラガクを倒して甲子園に行きたい」と無念さをにじませた。

 古くからの宿敵同士が、意地と意地をぶつけ合った今大会でも指折りの好試合だった。はけ口を求める先は練習しかないとし、本多監督は残された部員へ珠玉の言葉を発した。

「1、2年生は自分たちから猛練習してくれると思う。やらされた練習では強くはなりませんから」

(河野正 / Tadashi Kawano)

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