「パ・リーグTV」の内部を大公開! 動画編集の舞台裏に迫る
「スポーツの映像を編集する一番の醍醐味は『瞬間』を切り取ること」
――野球中継を編集する醍醐味はどこにあるとお考えですか?
「これはどの競技にも共通することだと思いますが、スポーツの映像を編集する一番の醍醐味は『瞬間』を切り取ることだと考えています。豪快なホームラン、渾身の投球で奪った三振はもちろんそうですが、ロジンバッグを触り、汗を拭う、涌井投手がボールを見る仕草もそうです。その『瞬間』をいかに見逃さずに切り取れるか、そこが腕の見せどころですね」
――編集していて面白い、魅力的だと感じる選手はいますか?
「編集をしていて面白いと感じるのは、プレーの特徴が映像に表れやすい選手だと思います。最近だと、埼玉西武・源田選手の送球や福岡ソフトバンク・甲斐選手の強肩をまとめると、大きな反響があります。私自身も編集をしていても面白いと感じますね。
あとは感情表現が豊かな選手も魅力的だと感じます。楽天・ウィーラー選手や福岡ソフトバンク・川崎選手、松田選手、柳田選手など…。真剣かつ楽しそうにプレーする姿は、編集する側としてもやりがいを感じます」
――他の業界でやってきたことで、今の作業などに生きていることはありますか?
「映像業界に入ってからは、良い意味で仕事を選びませんでした。予算が少ない番組では、通常のディレクション業務では行わないような作業も自分自身で行っていたので、その分ディレクターとして鍛えられたのかもしれません。野球選手で例えるなら『どのポジションでも守れます』といったユーテリティプレイヤーのような…。そういった部分は、パ・リーグTVの業務でも存分に生かされていると思います」
――逆にこの業界だから必要となった、あるいは身に付いたスキルや視点はありますか?
「この仕事をする上で、編集技術など積み上げてきた経験は大いに役立ちますが、その経験が、無意識のうちに表現や発想の幅を制限していることもあります。自分がやってきた仕事の常識を当てはめてばかりでは、ファンの皆さんに驚きや楽しさを届けることはできないと考えています。
また試合映像を切ってつなぐだけの編集では表現に限界があると感じていますので、今は演出の幅を広げられるように、CG映像のスキルを磨いているところです」
――中村氏が選ぶ、これまでに作成したお気に入り動画は何ですか?
「大きな反響をいただいたものだと『6-4-3、4-6-3のダブルプレー集』や『見逃し三振まとめ』、主に北海道日本ハム戦の実況をされている近藤アナの『It’s goneまとめ』、北海道日本ハム・西川選手の『エアハルキ』や福岡ソフトバンク・柳田選手の『サヨナラカップイン』が印象深いです。
それとは別に、柳田選手、埼玉西武・森選手、オリックス・吉田正選手の『豪快スイングまとめ』もお気に入りです。この特集では、あえてホームランやヒットのほかに空振りした場面も使っています。空振りの場面はテレビ等ではあまり使われることがないシーンだと思いますが、そうした映像も一つにまとめることで、選手の凄さ・力強さがよりリアルに伝えられている。パ・リーグTVならではの動画だと個人的には思います」