阪神を支える“MKD”は“JFK”に「匹敵」 カギ握る桑原の強みとは?
「同じ球種でも少しずつ握りを変えて、いろいろな変化が出るように工夫」
「開幕当初は、ここまでになると考えていなかった人も多いと思いますよ。ここまで失点はわずか4。防御率が1点を切る0.85というのも素晴らしいですが、救援投手、特に7回以降を任される投手はWHIP(1イニングあたりの与四球数+被安打数)で評価した方がいい。桑原の場合、WHIPは0.83だから1回に走者を1人出すか出さないか。圧倒的ですよね。
今季はここまで4失点。16試合連続無失点、19試合連続無失点という時期があった。これはスゴいですよ。もちろん、たまには打たれて、前の投手が残した走者を返すこともある。それでも同点で踏みとどまって、勝ち越しは許さない。上手く切り抜けて負けをつけなければ、ベンチからの信頼も、先発投手からの信頼も大きくなります。
リリーフとして1軍に定着したのは今年が初めて。良い場面で使ってもらいながら結果を残して自信を深めている。いい具合に働いていますね。正直なところ、開幕当初は『そのうちつまずく時がくるんじゃないか』と思っていたんですよ。でも、ここまで成績を出したら(笑)。当然ベンチも『やるじゃないか』って評価を上げますよね」
着実に結果を出しながら評価を高め、藪氏の見方も変えた31歳右腕。改めて、その強みはどこにあるのだろうか。
「彼は真っ直ぐがいい。速い時は155キロくらい出ますから。キレと言うよりスピード。それに加えて、同じ球種でも少しずつ握りを変えて、いろいろな変化が出るように工夫しています。ツーシームの握りでフォーシームのように思いきり投げてみたり、スライダーも少し握りを変えて曲がりの大きさを変えてみたり。特に左打者に通用するのが大きいですね(被打率.164)。
ここまで42試合に投げて24ホールド。こうなれば60試合で投げて40ホールド以上も期待できるでしょう。ただ、1軍に定着して実質1年目なので、プレッシャーが掛かる後半戦をどう乗り切れるか。感情を表に出すタイプじゃないから、結構芯の強さも持っていると思うんですよ。ここからの踏ん張りに期待したいですね」
夏の甲子園が開催されるため、阪神はペナントレースが佳境を迎える8月の大半を敵地で過ごす。スケジュールの上でも踏ん張りどころで、MKD(マクド)を支える桑原の存在がさらに大きな意味を持つことになりそうだ。
(佐藤直子 / Naoko Sato)