岩村明憲、引退試合で2安打&PO進出「自分は本当に幸せな男だと思います」
第4打席で中前打、二塁進塁後に代走「勝って必ずPOに行く気持ちで」
独立リーグのBCリーグ福島ホープスで監督を兼任する岩村明憲選手が10日、今季後期最終戦の武蔵ヒートベアーズ戦で引退試合を行った。「1番・DH」で先発。試合終了まで4打席に立ち、4打数2安打のマルチ安打を記録。最後まで確かなバット捌きを披露した。チームは9回を3-3の同点で終え、プレーオフ進出を決めた。
恩師と慕う中西太氏ら見守る中、打席に向かう岩村をファンが大歓声で包んだ。第1打席は二ゴロ、第2打席は二ゴロ併殺に倒れたが、「悔しくてベンチの裏で素振りをした」とさらなる準備を重ねて臨んだ第3打席で見せた。1-2と1点ビハインドの5回裏、無死一、二塁の好機で打席に立つと、三遊間を破るレフト前ヒットで満塁とし、後続の逆転打につなげた。
3-3の同点で迎えた7回先頭の第4打席には、鮮やかなセンター前ヒットで出塁。送りバントで二塁へ進塁したところで代走と交代し、ベンチへ下がった。三塁側ベンチの前に戻ると、ヘルメットを脱いで観客席に向かい、お辞儀をして現役生活に幕を下ろした。
チームは引き分けで9回を終え、シーズン最終戦でのプレーオフ進出で岩村の引退試合に華を添えた。
試合後に行われた引退セレモニーでは、カブスのマドン監督、DeNAラミレス監督、マリナーズの岩隈久志投手、楽天の嶋基宏捕手、ヤクルトの石川雅規投手ら縁のある人々からビデオメッセージが寄せられた。岩村は「175センチという体で、怪我とよく向き合いながら21年よくやったと思う。監督が選手最後の試合というプレッシャーの掛かる試合で、プレーオフを決めた選手全員を誇りに思います。そして、それを後押ししたのがファンの皆さん。ありがとうございます」と挨拶。そして家族から花束が贈呈されると、満面の笑顔を見せた。胴上げで締めたセレモニー後の会見では「自分は本当に幸せな男だと思います」と感慨深げに話した。
岩村は宇和島東高から1996年ドラフト2位でヤクルトに入団。プロ2年目で1軍デビューを果たすと、強打の三塁手としてヤクルト打線を引っ張った。2007年にポスティング制度を利用してMLBデビルレイズ(現レイズ)に移籍。2008年のワールドシリーズ出場に大きく貢献した。2011年に楽天と契約を結び、NPBに復帰。2015年からBCリーグ福島で選手兼任監督を務めている。
また2006年、2009年には日本代表としてWBCに参戦。侍ジャパンの連覇に貢献した。
NPBでは通算13年プレーし、打率.290、出塁率.358、1172安打、193本塁打、615打点を記録。MLBでは4シーズンを過ごし、打率.267、出塁率.345、413安打、16本塁打、117打点の成績だった。
(佐藤直子 / Naoko Sato)