「ビビッて投げていた」社会人野球で快挙の右腕 ノーノー導いた指揮官の言葉
「できると思っていなかった」快挙、木南が手応えを感じた球種とは
そんな阿部がノーヒットノーランを意識し始めたのは7回だった。「僕というよりは、周りがざわついてきたので。その時には意識はしていました。でも、出来るものだとは思っていなかったので。コーチにも『打たれてもいいから』と言われていたので、プレッシャーはなかったです」。ベンチでも、コーチやチームメートからは無安打無得点ということについて、声をかけられることはなかったという。
試合は9回まで2-0と緊迫した状況が続いた。東京ドームは本塁打が出やすいことに加え、9回は上位打線に回る。何が起こるかわからない状況で、木南はいつも通り先頭バッターに集中し、最後まで普段通りのリードを続けるよう心掛けた。
9回、先頭打者をファーストゴロに打ち取り、1アウト。後続を見逃し三振に打ち取ると、最後のバッターも見逃し三振に仕留め、見事ノーヒットノーランを達成。3四死球を与えたが、打者29人に9奪三振、122球の力投だった。
バッテリーが最後まで「できるとは思っていなかった」という快挙。木南は「あの試合ではカーブをうまく使えました。それまでは落ちるボールに頼っていましたが、カーブで上手く緩急を使えました。相手が最後まで打ち方を変えてこなかった。淡泊になってくれていました。それが良かったと思います」と要因を分析する。
ただ、チームは決勝で惜しくもNTT東日本に敗れ、昨年の日本選手権に続き準優勝という結果に終わった。快挙を達成したバッテリーにも悔しさが残った。