「掛布さんと池山さん…」現役生活21年に幕、岩村明憲が追い続けた背中
「掛布さんが短命であれば、自分も」という岩村の意識を変えた出会い
自分も」という岩村の意識を変えた出会い
引退してからじゃ何もできない。現役は最高だ。そう現役生活にこだわり続けた池山は、1984年から2002年まで19年のプロ生活を送った。2002年10月17日、池山の引退試合に出た岩村は「こうなりたいと思った。どこか憧れ、目標にしていた部分がありました」と振り返る。
「同じポジション、ライバルという部分で、池山さんの立ち居振る舞いから何から、いろんなことを見てきましたけど、あらためて思うのは、すごい方だな、と。自分の中では、アメリカに行こうが何しようが、池山さんには勝つことはできない」
掛布と池山。目標にした背中は大きく、選手として追いつけるとは思わなかったというが、1つだけ、近づけるポイントを見つけた。それが「多くのファンを魅了すること」だ。
岩村の熱い性格は、プレーの端々にも表れた。チームの勝利のためには、全身全霊を尽くす。その姿勢と思いは、2007年から師と慕う元レイズのマドン監督をも魅了した。嘘偽りのない気持ちで、大好きな野球と真剣に向き合う姿勢は、世界共通の言語だった。
今後は指導者として後進の育成に携わることはもちろん、野球を通じて、第2の故郷ともなった福島を盛り上げる活動を続けていくという。憧れの2人は、定評ある指導者に転身した。現役を終えた後もまた、2人の背中を追う旅は続くのかもしれない。
(佐藤直子 / Naoko Sato)