MVP級の活躍で2季ぶり優勝に牽引、サファテを突き動かした雪辱の思い
ウイニングボールは王会長へ「このチームを作り上げてきたのは王会長」
「チームが優勝できたことが全て。記録は個人のこと。チームメート、監督、コーチに感謝しているし、チームが強いということを証明できたのは嬉しい」と、自身の記録はそっちのけで、優勝のために力を注いできたサファテ。試合後のウイニングボールは、全員とのハイタッチを終えると、王貞治球団会長の下へ歩み寄り、手渡した。「王会長あってのチーム。会長が来られているなら、会長に渡さないといけないと思っていた。このチームを作り上げてきたのは王会長だからね」と語った。
このサファテ、グラウンドを離れても“男前”だ。2015年に始めた東日本大震災の復興支援チャリティー活動は、今季で3年目を迎えた。1セーブにつき10万円を寄付する活動で、過去2年で総額は840万円に上り、今季を合わせれば、計1000万円を悠に越える。2016年に起きた熊本地震の際には、被災地の子供達をヤフオクドームへと招待し、震災や今年起きた九州北部豪雨に際して球団が実施した義援金募金活動には、必ずと言っていいほど募金箱の前に立った。率先して社会貢献活動に取り組む姿は、アスリートの鏡と言っていいだろう。
日本ハムに大逆転でリーグ優勝をかっさらわれた昨季。同点の場面での登板だけで7敗を喫したサファテは、V逸の責任を一身に背負い込んだ。「優勝を逃したのは自分のせい」と悔やみ、36歳にして一段と成長した姿を今季示した。その屈辱を晴らす戴冠に「去年の借りを返せて嬉しかった。さらに強いチームになって帰ってこられた。我々の強さを証明できて良かった」と言葉に力を込めた。2年ぶりのリーグ優勝。絶対守護神もまた、昨季の雪辱を果たした1人だった。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)