競技者人口の増加、そしてパラ五輪競技採用へ 西武が手掛ける活動の意義

競技の難しさとプレーヤーの凄さ

 競技用の車椅子に乗り、実際に体験をしてみると、その難しさがすぐに分かる。まず、打つ際に足を地面について固定してはいけないというルールの壁にぶち当たる。なぜなら、小回りが利く競技用車椅子のため、普通にスイングすればクルンと車椅子ごと回転してしまい、打球に力が伝わらないからである。それを防ぐためには、右足をステップとタイヤの間に挟んで回転を抑える必要がある。

 やっとの思いで打球を前に飛ばしても、一塁に向かうというさらなる壁が立ちはだかる。これがまた難しい。両腕でバランスよく力を加えないと、思わぬ方向に曲がってしまい、真っ直ぐに進むことができない。プレーしてみると、これらを難なくこなすプレーヤーの凄さを思い知らされる。

 本大会に出場している各チームの選手たちもさることながら、日本初の開催となったジュニアメンバーのレベルの高さにも驚かされた。埼玉A.S.ライオンズに所属し、ジュニアメンバーのコーチを務めた野島弘氏は「レベルが高くてびっくりしたよ」と舌を巻く。それに加え、車椅子に乗ってプレーする子供たちの元気の良さと屈託のない笑顔に、見ている側も力をもらうほどだ。

 ジュニア大会が終了し、もう一方のコートでは本大会の決勝戦として、埼玉A.S.ライオンズと横浜ガルスの一戦が行われた。序盤は埼玉A.S.ライオンズが大きくリードを奪うも、中盤に横浜ガルスが逆転。3点ビハインドで迎えた最終回に埼玉A.S.ライオンズが4得点でサヨナラ勝ちを収めた。

 埼玉A.S.ライオンズを率い、見事3連覇を果たした堀江航氏は「3連覇を達成できてうれしいですし、いいチームになりました」とコメント。続けて「プロ野球の球団がこのような大会を開催してくれることで注目度も高くなりますし、この競技を知らない人とかも見に来てくれたりするので、埼玉西武ライオンズさんの支援活動は大変ありがたく思います」と感謝の言葉を口にした。

 堀江氏は昨年、西武プリンスドーム(現メットライフドーム)で始球式を務めたこともあるように、車椅子競技の競技者として自ら率先して普及活動を行っている。「競技人口を増やすこともそうですが、競技が行える環境が増えていってほしいと思っています。それによってこの競技がもっと認知され、結果としてパラリンピックの競技になればいいなと思っています」と、さらに普及が進むことを切望する。

パラリンピックの正式種目採用に向けた課題は?

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