「僕らはみんな平等であるべき」米で広がる国歌斉唱膝つき抗議がMLBにも
アスレチックス新人捕手マックスウェルが膝つき抗議
NFLで広まっている国歌斉唱時の片膝つき抗議が、メジャーにも拡大した。23日(日本時間24日)本拠地でのレンジャーズ戦で、アスレチックスの新人捕手ブルース・マックスウェルが国歌斉唱の際に立ち上がらずに片膝をつく抗議行動を始め、翌日も同様の行動を取ったことが話題になっている。何に抗議しているのか。それはアフリカ系アメリカ人の地位向上だ。
元々は、昨季NFLのサンフランシスコ49ersでQBを務めるコリン・キャパニックが、アメリカの警察官によるアフリカ系アメリカ人に対する人種差別的行為が相次いだことに抗議の意思を示すため、国歌斉唱の際に起立せずに片膝を地面につく行動に出たことに端を発する。キャパニックに賛同する選手たちが“膝つき抗議”に追随。膝をつく以外にも腕を組んだり、グラウンド外に出たり、さまざまな形で抗議を続けている。
これに対し、トランプ大統領は22日(同23日)にアラバマ州で行った演説で、抗議行動に出ているNFL選手を非難した上で、オーナーに対して抗議行動に出ている選手は解雇すべきだと訴えた。
この発言は、NFLだけではなく、NBAやMLBなど他競技の選手や関係者を刺激した。NBA覇者ゴールデンステート・ウォリアーズのスター、ステフェン・カリーは、優勝チーム恒例となっているホワイトハウス訪問の参加を拒否。そして、メジャーでは初めてマックスウェルが膝つき抗議を始めた。
MLB公式サイトによれば、マックスウェルは抗議行動に出る前に、球団首脳陣や監督、コーチ、チームメイトに知らせ、その理由についても説明したという。アスレチックスのメルビン監督は「彼はこれ以上ないほど適切なコミュニケーションをとって抗議行動に出た」と話し、突然ではなく、周囲の理解も得ながら抗議に踏み切ったマックスウェルを称賛。チームは26歳捕手を全面サポートするという。
抗議行動について「サポートから脅迫まで、ありとあらゆる反応があった」と話すマックスウェルだが、当面は続けていく予定だという。
「首脳陣と話をして、抗議行動の意味を理解し、敬意を示してくれている。もしこれが原因で野球を辞めることになっても、仕方がない。これは金銭的な事情よりも大きな問題で、毎日袖を通しているユニホームより大事な問題なんだ。これはこの国に住む人々に関する問題。僕らはみんな平等であるべき権利を持っている。国歌斉唱の間に膝をつく理由は、そこにあるんだ」
白人至上主義とされるトランプ大統領が現職に就いて以来、人種差別問題が再燃しているアメリカだが、今回も大統領の発言が抗議をさらに大きくするという皮肉な結果になってしまった。
(Full-Count編集部)