独走Vホークス最大の“サプライズ” 急成長の育成出身捕手が流した安堵の涙

飽くなき向上心、「僕の責任」との言葉

 まずは「1年を振り返るのは全てが終わってからですね。まだ残り試合がありますし、クライマックスシリーズ、日本シリーズとありますから」と前置きした上で、今季について「今の段階で自分の成績はまだまだだし、チームに迷惑をかけている部分もたくさんあります。たくさん皆さんの力を借りている。成績には納得していませんし、まだまだだなと感じる部分も多いです」という。

 実質的に言って1軍は1年目。もちろん物足りない部分があるのは、当然だ。一人前になるためには経験がモノを言う捕手というポジション。そう簡単に、全てが上手くいくはずはない。

 それは分かった上で、いつものことながら、甲斐は自分に厳しい。東浜はハーラートップの16勝、千賀は左背部の張りで2度の離脱がありながら、13勝を挙げている。

 先発マスクを被った試合は54勝。十分に役割をこなしたと思う人は多いはずなのだが、「やっぱりリード面、配球面はまだまだだと特に感じます。課題はたくさんあるし、巨さんにしても、千賀にしても、ずっと組んでいますけど、もっとラクにすることが出来たんだろうなと思うことは多い。千賀なんて、もっともっと勝っていておかしくないと思うので、そう出来ていないというのは僕の責任だと思います」と語った。

 尽きることのない向上心と、飽くなき探究心。170センチの小柄な体には、強烈な情熱が秘められている。「納得する内容でもないですし。今の段階では全然じゃないですか。クライマックス、日本シリーズでやるべきことが出来ていればいいですけど、そのためにはまず、チームが勝つためにやるだけ。それを出来るようにしないといけないですから」。リーグ優勝は、まだ道半ば。目指すところは、あくまでも日本一である。とは言え、たとえ日本一になったとしても、甲斐は己に厳しい言葉を並べるのだろう。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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