POで見るのは良い田中か、悪い田中か…田中将大の予測にNYメディア混乱
6回持たず8失点から1週間後、同じブルージェイズを7回15K無失点
ヤンキース田中将大投手は29日(日本時間30日)、本拠地ブルージェイズ戦で7回を投げて3安打15奪三振無四球で無失点という快投を披露した。メジャー自己新&今季メジャー最多タイの15奪三振という圧巻のパフォーマンスは数々の称賛を呼んだが、同時に見る者の頭を悩ませたようだ。地元紙「NYデイリーニュース」電子版では「プレーオフでどちらの田中が登場するのか、ヤンキースは知る術なし」のタイトルで特集記事を組んでいる。
今季の田中は開幕当初から思うようなパフォーマンスが続かず。エースとして先発ローテを牽引することを期待されたが、好不調の波に揺られながら、なんとか30試合に先発して13勝12敗と勝ち越した。ボールが手に付かないように見えた4、5月に比べ、6月以降は落ち着きを取り戻したように見えるが、それでも突如乱調に襲われることがある。辛口で知られるニューヨークの地元メディアは、乱調時の田中を「バッドマサ」と呼んだり、快投と乱調を繰り返す姿を「謎の存在」と形容してきた。
この日の田中は、今季屈指の快投を披露。レギュラーシーズンの最終登板を、ほぼ完璧な形で締めくくり、プレーオフに向けて準備は万端に見えるが、シーズンを通じて、好不調の波に翻弄されてきた地元メディアはやや懐疑的な視線を送っているようだ。記事では、ちょうど1週間前の22日(同23日)に同じくブルージェイズと敵地で対戦した時、田中は3被弾に泣き6回途中を8失点で降板したことを指摘。わずか1週間での変貌ぶりに、どちらを期待すればいいのか分からないと困惑しているようだ。さらに「前半も圧倒的なパフォーマンスで、みんなをその気にさせながら、度々肩すかしを食らわせた」ともリポートしている。
残り2試合。東地区首位レッドソックスを2ゲーム差で追うヤンキースは、大逆転優勝の望みをつないではいるが、現実的にはワイルドカード1位でのプレーオフ進出が濃厚だ。そうなると、10月3日(同4日)にツインズと一発勝負のワイルドカードゲームを戦うことになる。ここで勝ち抜くと、5日(同6日)から始まる地区シリーズにコマを進められる。ワイルドカードゲームでの先発は、今季絶好調のセベリーノが有力視されているため、田中がプレーオフで先発するとしても地区シリーズから。3勝勝ち抜けの地区シリーズだが、1試合たりとも無駄にする余裕はない。ヤンキースとしては“良い田中”がマウンドに登場することを期待したいが、今季の不安定さでは、それすら予想できないというのだ。
この日バッテリーを組んだロマインは「今日の登板で自信を深めたと思う。こういう形でレギュラーシーズンを締めくくれたのはいいこと。この自信を持ってプレーオフにいってほしいね」と“良い田中”の出現に期待を込めた。ジラルディ監督も、7回無失点の快投に「彼に大きな信頼を寄せられる。彼の実力が発揮された」と前向きに捉えている。もちろん、田中自身、プレーオフの1戦が持つ意味の大きさを熟知しているだけに、好投を期待したいところだが…。
どちらの田中が登場するのか…。周囲はしばらく頭を悩ませることになりそうだ。
(Full-Count編集部)