ホークスVS楽天の勝敗分けた分岐点 流れ変えた鷹・工藤監督の一手

突然抜擢した選手が活躍、工藤監督の手腕

 窮地に立たされた工藤監督は、思い切った策に出た。今季のシーズンをファームで過ごし、リーグ戦わずか2試合出場だった城所を「2番・中堅」でスタメンに抜擢。今宮を1番に、デスパイネを5番から3番に置き換えた。シーズン143試合を戦ってきた形を変えた。正直、窮地に追い込まれ、血迷った采配、奇策、ギャンブルに思えた。同様に思ったファンも少なからずいたのではないだろうか。「工藤監督、申し訳ありませんでした」と謝るしかない。この一手が、シリーズの流れを大きく変えた。

 試合前のシートノックが終わった後には、指揮官自ら、普段は入らない円陣に入って、ゲキを飛ばした。そうして始まった第3戦、初回の先制点は今宮が安打で出塁し、城所の犠打がお膳立て。3回には城所が右翼線二塁打で出塁したところからチャンスが広がって内川が3ランを放った。5回の守備では、左中間を抜けようかというウィーラーの大飛球を城所が猛ダッシュで追い、スライディングキャッチするスーパープレー。その直後の攻撃では、この日2本目の二塁打を放った。ポイントポイントで、城所の活躍が光っていた。

 こう言っては失礼だが、誰が、これほどまでの城所の活躍を予想出来ただろう。昨季の交流戦MVPといえど、今季は2試合しか出ていなかった。当初はCSメンバーからも外れており、この日出場選手登録されたばかりだった。思い返せば、シーズン中も、工藤監督が突然抜擢した選手が活躍したのは1度や2度では済まない。練習は共にし、打撃練習などを見ていたとはいえ、その慧眼には頭が下がる。

 この一戦を境に、シリーズの流れは一気にソフトバンクに傾いた。ソフトバンクの工藤監督が打つ手は当たり、1、2戦目はズバズバと当たっていた楽天の梨田監督の策が裏目に出るようになった。分岐点となった3戦目。この試合の勝敗が、両者の命運を逆転させるものとなった。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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