一時就職活動からドラフト候補へ 先輩・源田との対戦を夢見る23歳右腕

「野球から逃げていた」―、一時は就職活動も

 それでも、気持ちを吹っ切ることは出来なかった。投げ込み不足も影響し、3年秋のリーグ戦では本来の力を発揮することは出来ず、チームも最下位に低迷。入れ替え戦にも敗れ89季ぶりの2部降格となった。

 大蔵は「自分が2部に落としてしまった」と自らを責める日が続いた。そして、野球を辞めようと決断する。いくつかの社会人チームから練習参加の誘いがあったが「もう野球はやらないので」と断りを入れた。

「3年の秋が終わってから、就職活動をしていました。なるべく野球から離れたいと思い、不動産や鉄道、中小企業まで回りました。野球から逃げていました」

 4年春のリーグ戦では登板機会すらなかったが、チームは1季で1部に昇格。チームメートは「大蔵のためにも」と戦った。

「チーム全体で声をかけ続けてくれました。僕以上に、すぐに1部に上げてくれたチームメートのほうが大変だったと思う。本当に申し訳ないことをしました」

 監督、チームメートに支えられ、4年の夏に投球を再開。しかし、最初は「負けたらどうしよう」と思ってしまい、「投げたくない」という気持ちがあったという。それでも、投球を続けるうちに徐々に調子を取り戻し、4年秋のリーグ戦で1年ぶりの登板を果たす。

「本当にいい奴らばかりでした。野球から逃げて、あっちに行ったりこっちに行ったり、自分勝手だったと思います。みんなには迷惑をかけて、申し訳ないと思っています」

NPB目指し独立リーグ入り選択、夢は先輩の西武・源田との対戦

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