救援・前田健太の“宝刀”は「高速」「シャープ」、そして「完璧にコースに…」
同僚モローも脱帽する前田の“宝刀”「最も印象的なのは彼のスライダーのコントロール」
最強左腕カーショーはこう証言しているという。そして、コンポストシーズンでは2勝1ホールド、防御率0.00というリリーバー前田の無敵ぶりはブルペンの仲間にも衝撃を与えている。
「彼が右打者殺しであることは以前から数字が物語っていた。それが変わるとは予想しなかった。ブルペンではそれがもっと良くなると思っていたんだ」
記事の中でモローはこう話している。前田はレギュラーシーズンでは、右打者相手に被打率.214という優秀な成績を残す一方、左打者相手には.263という成績だった。デイブ・ロバーツ監督が「右打者キラー」と名付けた通り、PSでは凡退に仕留めた打者15人中14人が右打ちだった。
ポストシーズンでは、前田のファストボールの球速が最高96マイル(約155キロ)まで上がったが、モローは宝刀スライダーに驚愕しているという。
「最も印象的なことは彼のスライダーのコントロールだ。あんなに高速であんなにシャープなのに。ファストボールのように完璧にコースに決めるんだよ」
右打者のストライクゾーンから外角低めに逃げるように急速に変化する前田のスライダーは、リリーバーを務めるPSで明らかに威力とキレを増し、空振りの山を築いている。ポストシーズン7試合に登板し、わずか1失点で防御率1.08という好調ぶりを見せるモローの目にも、前田の伝家の宝刀は絶大に映っているようだ。
ポストシーズンでの無双ぶりで、リリーバーとしての評価をうなぎ上りに高めている前田は、公式会見で先発投手としてのプライドを滲ませていた。
「正直、別に向いてるわけではないと思う。たまたまポストシーズンでこういう結果が出ただけなので。誰かがこうやって抑えたら適性って言うけど、僕はそうじゃないって(思う)。人生で今まで先発しかしなかったんで、正直5試合抑えただけでリリーフの方が向いてるって言われるのは、僕にとっては悔しいというか、心外というか……。そんな簡単に決まるものではないと思う。リリーフを経験して、正直そんな簡単に務まるものではない。全然、僕は向いてるとかよりも、単純に結果が出てるだけ」
リリーフ適正の高さを評価されることは本意ではないという前田だが、不慣れな役割に不平を漏らさず、前向きな姿勢で完璧に仕事をこなす姿がメディアやファン、そして、同僚のさらなる称賛を呼んでいるのかもしれない。
(Full-Count編集部)