鍵は柳田と梶谷の起用法? 日本シリーズ「ホークス対DeNA」徹底分析

注目される采配は…

【いつもどおりの強さを見せたい工藤監督と、采配で違いを作り出したいラミレス監督】

 2チームのシーズン得失点差は福岡ソフトバンクが+155で、横浜DeNAが-1。143試合を戦えばリーグ1位と3位の差はしっかりと表れるだろうが、最長7試合で終える日本シリーズにはシーズン中と異なる戦い方も存在する。戦力充実の福岡ソフトバンクに対して、横浜DeNAのラミレス監督はクライマックスシリーズファイナルステージで見せたように、必要とあらば先発投手をリリーフのマウンドに送り出し、矢継早の継投策も見られるかもしれない。

 サウスポーの多い横浜DeNA投手陣が、左腕に強い福岡ソフトバンク打線をどう攻略しにかかるかもひとつのポイントになる。今季は対右と対左で打率.256/.268、長打率.409/.464、出塁率.328/.344と、サウスポーは鷹の格好の獲物だった。勝負所では特に、ラミレス監督とバッテリーは間違えを許されない。

 野手では柳田選手と梶谷選手の起用法に注目したい。福岡ソフトバンクは1番打者の出塁率.325がチーム平均を下回っていた。クライマックスシリーズファイナルステージ第5戦でリードオフとして復帰した柳田選手は今季、リーグトップの出塁率.426を記録している。もし、トップバッターとしての起用で柳田選手がシーズンと同様に活躍できれば、チームの弱点は一気に強みへと変わる。その場合、中軸の迫力は薄れるが、他球団であればクリーンアップを任されても不思議ではない松田宣浩選手や中村晃選手が繰り上がることになりそうだ。弱点の解消か、中軸の厚みか。工藤公康監督も決断を迫られている。

 梶谷選手はシーズン中に打順が定まらず、クライマックスシリーズでも相手投手との相性や他の打者との兼ね合いもあって、2番が6試合、6番が2試合と打順が固定されなかった。横浜DeNAの2番に梶谷選手が入ると長打率.374が.468まで上昇する。なるべく「大量得点差」で「先行逃げ切り」を図りたい横浜DeNAにとって、上位打線の得点力増はミソだ。

「普段着の野球」を心掛けたい福岡ソフトバンクに対して、「持たざるチームの戦い方」を心得ているのが横浜DeNAだ。両軍を率いる監督の現役時代の対戦成績は55打数14安打、打率.255、1本塁打。開戦前日の監督会見では、ラミレス監督が工藤監督の予告先発案を拒否して、細工は流々であることを匂わせた。

(「パ・リーグ インサイト」藤原彬)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY