ド軍左腕ヒル、差別行為に秘めた思い 力投の裏でグリエルへ“特別な投球”
グリエルへの大ブーイング、ド軍左腕の投球も影響「みんな思いを口にした」
元DeNAでアストロズのユリエスキ・グリエル内野手が10月31日(日本時間11月1日)、ドジャースとのワールドシリーズ(WS)第6戦でドジャースタジアムに詰めかけた満員のファンから打席に立つたびに地鳴りのような大ブーイングを浴びた。この場面について、この日先発したドジャース左腕リッチ・ヒルが自身のとった“特別な行動”について明かしている。地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」電子版が報じている。
グリエルは、ワールドシリーズ第3戦の2回にドジャース先発ダルビッシュから先制ソロを放った後、ダグアウトで両目尻をつり上げる仕草を見せたことが問題視された。これがアジア系の人々を侮辱する差別行為として批判を浴び、後日、来季開幕から5試合出場停止となることが決定。当事者となったダルビッシュ自身は寛容な姿勢を見せ、引きずる様子は見せなかったが、ドジャースファンにはアジア系の人々も多く、簡単に受け流してはくれなかった。この日4打数1安打という成績だったグリエルは打席に立つたびにブーイングを浴びた。
これについて地元紙は、37歳のベテラン左腕がこの日、グリエルに対して個人的な思いを抱いていた様子をレポート。ヒルは同選手と2度(一邪飛、右飛)対峙した際に、ファンがグリエルへの不満や怒りを表明する時間を作るため、わざと一球ごとにプレーを外したという。自身の投球リズムが崩れることも覚悟の上での行動だったようだ。
ヒルは記事の中で「観衆に自分たちの思いを表明させることを考えた。あそこまで(ブーイングが)大音量になるとは思わなかった。みんな思いを口にしたんだ。自分はそれに沿っただけ。それだけなんだ。あれは最善の方策だった。彼に死球を与えるとかではなくね。これは起きるべきではなかったと、明確にしたかったんだ」とコメントしている。
また、グリエルに対する来季開幕から5試合の出場停止処分について「どんなタイプの仕事に従事していようが、もしも、あんなことをしたとしたら、みんな次の日には職を失うだろう」と話し、不満をにじませたという。
結果的にグリエルに対して大きなブーイングが浴びせられたことには「すべてのドジャースファンだけではない。世界中の人々にとってもただわかりやすいことだったね」とも語っている。
負ければ終わりの崖っぷちのマウンドで5回途中1失点と力投を見せ、チームの勝利に貢献したヒル。この日は、差別行為に対して秘めた思いを抱いての好投だったようだ。
(Full-Count編集部)