金銭よりも夢、米挑戦の大谷翔平が求めるものは…「自分磨きをしていきたい」
現時点では30球団横並び、大谷の琴線に触れる熱意を持つ球団は?
11日に日本記者クラブで行われた日本ハム大谷翔平投手の米挑戦表明会見を受け、メジャー全30球団による大争奪戦がいよいよ始まりを告げようとしている。
果たして、大谷の意中の球団は――。大谷は「球団選びでは、どの部分を重視するか」という質問に対し、「自分としてはまだまだ足りないし、自分を磨いていきたい。(その)環境に適している球団に行きたい」と話した。
MLB労使協定の規定により、米国外出身の24歳以下の選手は契約金に制限があり、マイナー契約しか結べない。現在23歳の大谷は、25歳となる2年後なら総額3億ドル(約340億円)に達する大型契約を勝ち取れるとも言われており、当然のように「なぜこのタイミングでの米挑戦なのか」という質問も出た。すると、真っ直ぐ前を見つめ「まだまだ不完全な選手。やらなきゃいけないことが一杯ある選手。そういう状態の中で是非行ってみたい」と金銭面は全く意に介さず、自分の思いを素直に貫く気概を見せる一幕も。「話を聞いてみたい」という“二刀流継続”も含め、大谷のチャレンジ精神をよく理解し、全面的にバックアップしてくれる球団が選ばれることになりそうだ。
MLBとNPBのポスティングシステムの改定交渉は5月から始まったが、10月31日で現行制度が失効。だが、今オフからの1年は現行制度の維持で大筋合意に至ったという米報道もある。そうなると、日本ハムに支払う譲渡金の上限は2000万ドル(約22億7000万円)になる予定。大谷は中南米のアマチュア選手と同様の契約枠となるため、チームによってはすでに決められた契約金の大半を使ってしまったところもある。
その中で一番余裕があるのは、レンジャーズの約350万ドル(約4億円)で、次がヤンキースの325万ドル(3億7000万円)と言われており、大谷を花巻東高時代から長らくスカウトし続け、有力な選択肢と目されるドジャースは30万ドル(約3400万円)に制限される。キャッシュマンGMが8月に来日し、二刀流にとって有利なDH制のあるア・リーグのヤンキースが大本命との声も上がるが、現時点では全30球団にチャンスあり。金銭闘争ではなく、いかに大谷のハートを揺さぶれるか、その熱意にかかっていると言えそうだ。
(細野能功 / Yoshinori Hosono)