怪物ジャッジも届かなかったW受賞 リン、イチローのMVP投票はどうだった?
イチローはジアンビに8ポイント差でMVPを獲得
そのリン以来、史上2人目の偉業を成し遂げたのはイチローだった。オリックスから渡米1年目となった2001年、シーズン116勝と圧倒的な強さを見せたマリナーズで衝撃のデビューを果たした。走攻守で輝きを放ち、リーグ最多242安打で打率.350、8本塁打、69打点、56盗塁を記録。首位打者と盗塁王のタイトルを獲得したほか、オールスター出場、ゴールドグラブ賞とシルバースラッガー賞受賞を達成。さらに新人王に続いて、MVPの栄冠に輝き、同時受賞の快挙を果たした。
ただ、MVP投票ではアスレチックスのジェイソン・ジアンビと接戦となり、イチローが289ポイントだったのに対してジアンビは281ポイントとわずか8ポイント差だった。前年にMVP受賞を達成していたジアンビはこの年も打率.342、38本塁打、120打点でOPS1.137と圧巻の数字を残しており、票が割れる形となった。ちなみに昨年、米紙「アリゾナ・デイリー・サン」がセイバーメトリクスの指標を用いて過去のMVP受賞を再検証した結果では、2004年のイチローもMVP級の成績(メジャー記録の262安打、打率.372、8本塁打、60打点、36盗塁)と評価されたが、MVP投票は98ポイントで7位に終わっており、この年は打率.337、39本塁打、126打点をマークしたエンゼルスのブラディミール・ゲレーロが受賞している。
今年は59本塁打、132打点の2冠でナ・リーグのMVPに輝いたスタントンもレッズのジョーイ・ボット内野手と大接戦で、その差はわずか2ポイント差。史上歴代4位の僅差だった。偉大な選手であってもMVPを受賞するのは至難の業。メジャー2年目ながら強烈な存在感を放ったジャッジも、ダブル受賞には手が届かなかった。