活躍したのは受賞者だけじゃない 新人王逃した過去20年のルーキーたち

菅野、藤浪、茂木らも新人王受賞はならず

【2008年】

◯セ・リーグ 

<5>吉見一起投手(中日) 先発/救援投手
35試合 10勝3敗 114.1回 防御率3.23 与四球率1.97 奪三振率6.45

-越智大祐氏(巨人) 救援投手
68試合 0S 13HP 71.1回 防御率2.40 与四球率3.66 奪三振率12.74

 吉見はリリーフとしてシーズン初登板を果たすと、直後2試合は先発で連続完封勝利。その後も負けなしで白星を積み上げたが、5月下旬からブルペンへ配置転換となる。7月中旬の先発再転向後は故障もあって満身創痍だったが、求められた役割をしっかりこなした。新人王に輝いた山口鉄也投手(67試合、2S、34HP、73.2回、防御率2.32、与四球率1.47、奪三振率8.43)の陰に隠れる格好となったが、“風神雷神”コンビを組んだ越智氏も打者を圧倒する投球で、相棒と遜色ない成績を残している。

【2011年】

◯パ・リーグ
<2>塩見貴洋投手(楽天) 先発投手
24試合 9勝9敗 154.2回 防御率2.85 与四球率1.98 奪三振率6.58

<3>伊志嶺翔大外野手(千葉ロッテ)
 126試合 110安打 2本塁打 21打点 32盗塁 打率.261 長打率.341 出塁率.329

 塩見は3四球以上が2試合だけと制球力が光ったが、初登板は5月5日で出遅れが響いた。その翌日に牧田和久投手(埼玉西武)はプロ初完封を飾っており、開幕から10先発をこなした後に45救援と八面六臂の活躍で新人王を手繰り寄せている。統一球導入の影響でリーグ全体が投高打低の傾向にあった点を踏まえれば、伊志嶺の貢献度は表面上より高かった。前述2投手の防御率はリーグ平均とほぼ同じだが、伊志嶺は打率、出塁率ともリーグ平均を上回り、長打率こそほぼ同じだが、リーグ4位の32盗塁をマークした点で傑出している。

◯セ・リーグ
<2>榎田大樹投手(阪神) 救援投手
62試合 1S 36HP 63.1回 防御率2.27 与四球率3.98 奪三振率10.9

 4月からブルペンの勝ちパターンに定着した榎田は、新人最多の33ホールドと36ホールドポイントを稼ぎ出した。ただし、200イニングスを投げて防御率2.03の澤村拓一投手(巨人)が同じ年のルーキーでは、相手が悪かったと言うしかない。

【2012年】

◯セ・リーグ
<2>田島慎二投手(中日) 救援投手
56試合 0S 35HP 70.2回 防御率1.15 与四球率2.16 奪三振率7.13

 田島が失点したのはわずか6試合だけで、ほとんどの登板を無失点で切り抜けた。新人王の野村祐輔投手(広島)は9勝11敗と負け越し、与四球率2.71、奪三振率5.37とも特筆すべき数字ではなかったが、防御率1.98の結果が大きく物を言っている。

【2013年】

◯パ・リーグ
<2>佐藤達也投手(オリックス) 救援投手
67試合 0S 42HP 78回 防御率1.73 与四球率4.73 奪三振率10.15

<5>千賀滉大投手(福岡ソフトバンク) 救援投手
51試合 1S 18HP 56.1回 防御率2.40 与四球率4.15 奪三振率13.58

「腕も折れよ」とばかりの勢いで躍動し続けた佐藤と、必殺のフォークで打者をきりきり舞いさせた千賀が三振を量産した。両者とも28試合で複数の奪三振をマーク。新人王に選ばれる則本昂大(楽天)の奪三振率は7.94と、Kマシーン伝説はまだ幕開け前だった。

◯セ・リーグ
<2>菅野智之投手(巨人) 先発投手
27試合 13勝6敗 176回 防御率3.12 与四球率1.89 奪三振率7.93

<3>藤浪晋太郎投手(阪神) 先発投手
24試合 10勝6敗 137.2回 防御率2.75 与四球率2.88 奪三振率8.24

 リーグ最多の16勝を挙げた小川泰弘投手(東京ヤクルト)のみならず、上記2人も新人王を獲得しておかしくはない成績を残した。1年目から完成度の高いピッチングを披露した菅野だったが、完投は1試合だけで、小川は3完封を含む4完投を記録している。成績では2人に及ばずとも、藤浪はさまざまな年少記録を打ち立てて話題を作った。

【2014年】

◯パ・リーグ
<2>高橋朋己投手(埼玉西武) 救援投手
63試合 29S 15HP 62.2回 防御率2.01 与四球率3.45 奪三振率11.49

 高橋が当時では史上初の「シーズン25セーブ&15HP以上」を達成。対左打者に被打率.247の左腕だが、打たれた長打は二塁打1本のみだった(対右打者は被打率.188、被長打10本)。

◯セ・リーグ
<2>又吉克樹投手(中日) 救援投手
67試合 2S 33HP 81.1回 防御率2.21 与四球率3.97 奪三振率11.51

<3>福谷浩司投手(中日) 救援投手
72試合 11S 34HP 74.2回 防御率1.81 与四球率3.13 奪三振率8.68

<4>三上朋也投手(横浜DeNA) 救援投手
65試合 21S 14HP 65.2回 防御率2.33 与四球率3.70 奪三振率9.18

 新人王資格を持つ中日の投手2人がリーグのHPランキング3、4位に並んだ。サイドから投げ込む又吉と、真上から投げ下ろす福谷の直接の継投は前半戦で6試合だけだったが、ともに信頼感が高まり、終盤を任される機会の増えた後半戦は23試合にまで増えていた。その2人よりも後のイニングを主戦場とした三上はリーグ4位の21セーブを記録している。

【2015年】

◯セ・リーグ
<2>若松駿太投手(中日) 先発投手
23試合 10勝4敗 140回 防御率2.12 与四球率3.21 奪三振率7.26

<3>高木勇人投手(巨人) 先発投手
26試合 9勝10敗 163.2回 防御率3.19 与四球率2.58 奪三振率7.20

 新人としては及第点の成績を残した若松と高木だったが、新人記録となる37セーブとともに“ヤスアキジャンプ”を生み出した山崎康晃投手のインパクトがあまりにも強かった。

【2016年】

◯パ・リーグ
<2>茂木栄五郎内野手(楽天) 遊撃手
117試合 118安打 7本塁打 40打点 11盗塁 打率.278 長打率.408 出塁率.330

 開幕スタメンの座を射止めた茂木はショートのポジションに定着し、三塁打をリーグトップタイの7本、ランニングホームランも2本放った。2桁勝利に到達した高梨裕稔投手(北海道日本ハム)との対戦成績は10打数2安打で、新人王投票でも惜しくも敗れた。

◯セ・リーグ
<2>今永昇太投手(横浜DeNA) 先発投手
22試合 8勝9敗 135.1回 防御率2.93 与四球率2.53 奪三振率9.04

 今永は、6イニングス以上を投げて3自責点以内に抑えながら白星のつかなかった登板が8試合あり、防御率2.93の安定感とともに、130投球回以上の投手でリーグ3位の奪三振率9.04と抜きん出た投球内容だった。高山俊外野手(阪神)は長打率.391、出塁率.316ともリーグ平均と同程度だったが、3安打以上が13試合、4安打も3試合と固め打ちが多く、新人王投票で圧勝している。

 プロ野球人生でどれだけ実績を積み重ねようとも、新人王獲得のチャンスは一生に1度。栄誉であることに間違いはないが、受賞がその先のキャリアを保障するとは限らないのもまた事実。今オフも各球団が着々と新シーズンに向けた準備を進めているが、2年目を迎える今年のルーキーズが飛躍を果たせば、それもチームにとっての大きな“戦力補強”となることは間違いない。

【動画】ルーキーながら先発ローテを守り抜く活躍! オリ山岡の圧巻投球特集

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY