台湾プロリーグが海外に拡大検討、豪州と沖縄が興味と地元メディア報じる
八百長事件で野球人気失墜も近年は回復、さらなる発展目指す
11月25日から開幕したアジアウインターベースボールリーグ(AWB)。その戦いの舞台となるのは、台湾だ。台湾では、夏季はCPBLと呼ばれるプロリーグが前後期で開催され、4チームが年間優勝を目指して凌ぎを削る。相次ぐ八百長スキャンダルで一時は野球人気が失墜したが、現在は観客動員数を伸ばすなど順調に回復。そのCPBLがリーグ拡大を検討しており、オーストラリア・ベースボール・リーグ(ABL)と沖縄県が正式に加入の問い合わせをしてきたという。地元紙「タイペイ・タイムス」ほか複数の地元メディアが伝えている。
報道を総合すると、1990年に幕を開けたCPBLは28年の歴史を持つが、その間に2度の八百長スキャンダルが発生。平均5000人以上の観客が球場を訪れた人気は下降線を描き、一時は平均2000人を下回ることもあったという。1997年には最大7チームがあったが、2009年以来4チームが覇を競い合っている。近年はWBCでの善戦や元メジャー選手のマニー・ラミレスが参戦したことをきっかけに人気が復活。それに伴い、4チームでは同じ対戦が繰り返されるためリーグを拡大しよう、という動きが検討されているという。
CPBLでは新規球団が参入するには、入会金や保証金などの初期費用が合計5億8000万台湾ドル(約21億6000万円)が必要となるため、台湾の地元企業はなかなか興味を示していなかった。だが、ここへきてABLと沖縄県が参入に興味を示し、可能性について打診してきたという。CPBLの呉志揚コミッショナーは11月3日にABLのキャム・ベイル最高責任者と話し合いを持ち、後日正式な打診を受けたそうだ。一方で、11月19日に日本で謝長廷駐日代表と会談した際には、沖縄県がプロ球団を編成してCPBLに参入することに興味を抱いていることを伝えられたという。
南半球が舞台となるABLは現在がシーズン真っ只中で、3月から10月はオフシーズンになってしまう。メジャー球団や傘下マイナーに所属している選手は渡米するが、それ以外の選手はトレーニングをして過ごすため、CPBL参戦はオーストラリアの選手にとって、またとないチャンスとなる。日本でもリーグ拡大構想の中でたびたび本拠地として候補に挙がる沖縄は、台湾から飛行機でわずか1時間という地の利もあり、CPBL参入を検討しているようだ。
海外チームの参入希望にCPBL側は大喜びのようだが、実現するには「越えなければならない大きなハードルがいつくもある」という。前述の金銭面での負担はもちろんだが、CPBL球団の母体企業が50パーセント以上が海外資本の場合は参入できないという規則もあるそうだ。だが、CPBLは今後の海外チーム参入も視野に入れ、新たな規則を作り直すことも検討しているという。
果たして、近い将来CPBLに海外チームが参戦することになるのか。そうなれば、アジアの野球はますます盛り上がりを見せそうだ。
(Full-Count編集部)