打ち込まれても続投、甲子園準V投手が苦しみのマウンドで得た経験

チームによって異なる方針

 続く4回も2死から3連打で1点を失う。走者が出ると投げ急ぐ感じとなり、打者に狙い打ちされた。

 佐藤は5回の先頭打者、4番・洪成昊(斗山ベアーズ)に打球を左翼スタンドへ運ばれる。さらに、続く打者にも安打を許す。

 しかし、ウエスタンの大道典良監督(ソフトバンク)は動かない。笑顔さえ浮かべてマウンドを見つめている。大道監督は、29日のイースタン選抜戦でも、打ち込まれた中村晨(ソフトバンク)を5回途中106球まで投げさせた。

 打ち込まれたから引っ込めるのではなく、マウンドを降りるにしても立ち直るきっかけを掴ませてから降板させるという方針なのだろう。ナインも1球1球「ナイスピッチ」「その調子」と、佐藤を励ます。

 佐藤は6回も1安打されたが無失点に抑え、ナインの拍手に迎えられてベンチに帰った。

 単なる数字ではなく、大事な経験をさせる。これが教育リーグの意義だと言えるだろう。苦しみながらも6回を投げきり、最後は無失点に締めた佐藤はいい経験をしたのではないか。

 対照的にKBOの柳承安監督(警察野球隊)は小刻みな継投をするなど、勝負へのこだわりを見せた。チームによって方針は異なるようだ。

 試合は0-6とリードされたウエスタンが若月の本塁打などで追いかけたが一歩及ばず。4-6でウエスタンが敗れた。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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