人生の最大目標は「いい親父になれ」! 仙台育英監督が明かす“強さの秘密”

「優勝するという目標はない」―仙台育英にある3つのテーマ

 仙台育英・佐々木監督も「皆さんは本当かよ、と思うかもしれないが、ウチには勝つとか、優勝するといった目標がない」と話す。あるのは(1)いい親父になる(2)ウェルカム仙台育英「仙台育英ディズニーランド構想」(3)飛脚プロジェクト〈全員で達成しようとした時、奇跡が起こる〉だ。

「勝つ、優勝するといった目標を立てると、メンバーとメンバー外の間に溝が生まれる。全員が最後に卒業してよかったと思えるようにするにはどうすればいいかを考えている。一度、問題があって監督を辞め、戻ってきた時には部員がゼロ。戻ってきてから、森本監督が言うように勝つことをやめ、選手も見にいかないようにして、仙台育英で野球をやりたいという子たちだけでやるようになった。弱くなったら辞めようと決意を持って、最終的には全員に当てはまる目標にしました。

 将来、自分の子どもが悩んだ時に俺もこうやって悩んだぞと話せるように“いい親父になれ”。これは人生の最大目標。そして、ディニーランドに行って嫌な思いをしたことがある人は少ないはず。思いやりを持っていろんなことをしていけば楽しい高校生活を送れるだろう、と。グラウンドでは『歩くな。走れ!』と言われるけど、走っていない時に『飛脚プロジェクト、やめたの?』と言った方が走りやすい。言葉の綾なんです。優勝するという目標だと、優勝できなかった時に負け組のようになる。でも、人生では負け組ではない。最終的にはいい親父、かっこいい親父になれるように。いい伴侶を見つけて、幸せな家庭を築いてほしいと思っています」

 森本監督も佐々木監督も勝つことを放棄しているわけではない。勝つこととの向き合い方が変わったことが、結果的に勝利に結びついているようだ。

 こうした「勝ち・負け」の価値観が明かされたほか、「指導者の立場からの野球の楽しみ方」ではそれぞれの視点から話がされた。橘田監督は「女子野球というスポーツはなかなか観戦する機会がないと思いますが、女の子たちは野球が大好きでがむしゃらに、とにかく野球を楽しんでいる。『キャー! キャー!』と言っているのも全て見て、楽しんでください! 楽しくないとファンも競技人口も増えない。辛いことも笑っています」と女子野球をPR。森本監督もリーグ戦は観客動員が少ないため、「是非、仙台六大学野球にお越しください」と呼びかけた。また、「野球は間合いのスポーツ。打たれた後のピッチャーの顔やベンチに戻る姿を見ていると、人となりも見えてくる。そういうのも面白いのかなと思います」と森本監督自身が選手を見るときのポイントを話した。

 佐々木監督は「試合前の円陣でどんな話をしているのか、どういう作戦が出ているのか、ピンチではどんな表情をしているのか。そういったことでチームを比較して見ていくと、チームの特徴が表れる。ピンチで難しい顔をしているのか、笑顔でいるのか。橘田さんが『キャー! キャー!』と言っていると話していたが、仙台育英もどちらかというとそのタイプに似ている。ピンチになればなるほど、笑顔でやれるように普段からやっている。そういう姿勢も見ていただき、ピンチでも動じていないな、楽しんでいるなと思っていただくととても嬉しい。いろんなチームのスタイルを応援する感じになるといいのかなと思います」と語った。

野球人口減少の中で考えるべきこととは?

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