「ガッツマン」平野恵一から継いだ魂 オリ西野、真の後継者となるために

「120%のプレー」が信条だった平野氏

 この年のオフ、現役時代の平野氏が背負っていた背番号「5」を受け継ぎ、今季は名実ともに後継者となるべく意欲を燃やしていた。しかし、そんな西野を待っていたのは、プロ入り後では最も厳しいシーズンだった。深刻な打撃不振に陥って出場機会を減らし、その間に大城、小島が台頭。二塁手として最多出場を果たしたものの、一度手にしたはずのレギュラーの座は遠ざかってしまった。

 しかし、ファーム調整を経た今季終盤には、来季に向けた光明がすでに見え始めた。9月には14試合で11安打、打率.282を記録するなど、好調時のパフォーマンスを取り戻しつつあったのだ。大城を筆頭に、二遊間をめぐるチーム内の競争は激化している。それでも、西野がレギュラー有力候補であることに変わりはない。ここで得た復活への手ごたえを確実なものにできれば、レギュラーの再奪取もそう遠い目標ではないだろう。

 西野は、尊敬する平野氏からリュックサックを譲り受けている。現在は大切に保管しているそうだが、しっかり「KEIICHI 5」と書かれているそれが西野のものであることは関係者にもファンにも周知されていたほど、師弟の絆は深い。

 現役時代、誰よりも早く内野のノックを受け、ヘッドスライディングを敢行するなど、「120%のプレー」が信条だった平野氏。その背中を追って、西野も練習中は人一倍大きな声を出している。2015年限りで引退した平野氏とプレーしたのは1年のみだったが、その短い間に「ガッツマン」から多くのことを学んだのだろう。

 苦しみ抜いた1年を終えた西野は、正二塁手の座を再び自分のものにするという思いをさらに強めたはずだ。小さくて大きな先輩が背負っていた「5」の真の後継者となるために――。2018年、西野にとっての次なる挑戦が始まる。

【動画】センター前に運んだオリ西野の勝ち越しタイムリー

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