WBCで2大会連続ベスト4オランダ 競技人口減少の救世主「BeeBall」とは

「大切なのは楽しむこと」

 KNBSBのBeeBall普及担当の方にインタビューを行った。その中で非常に印象に残っていることは、とにかく「子どもが楽しむこと」を重要視していることだった。小学校低学年の間は、ほとんど技術指導は無く、子どもたちがいかに楽しい時間を過ごせるかを大切にしているとのことだった。

 また、試合においても、どれだけ一方的な試合内容になったとしても、最後の点数発表のときには「10-10の同点」となって終わる。子ども達には勝敗を決めるという楽しみ方ではなく、BeeBallをプレイすることを楽しんでもらいたいということから、試合での勝敗はつけないという方針である。このように、まずは子どもにBeeBallを楽しんでもらうことが野球人口減少を食い止めるカギとなると考えられている。

 2009年から実際にオランダ国内で小学校低学年を対象に普及を行っている。導入当初は、野球指導者などから多くの批判もあった。しかし、現在は少年野球チームのほとんどがBeeBallのチームも所有しており、基本的には10歳以下の少年少女はBeeBallを行い、10歳になるタイミングで野球・ソフトボールへ移行していくという流れが構築されている。

「BeeBall」導入から今年で8年目になるが、競技人口は年々増加していき、野球人口の変動も横ばいになるまでに回復した。また、現在も普及のために様々な取り組みを行っており、KNBSBは定期的に「Welcome friends day」というイベントを開催している。KNBSBに加盟している選手はこのイベントにKNBSBに加盟していない友人を1人以上連れてきて、一緒にBeeBallを行うというイベントである。イベントに参加した子どもには「BeeBall Welcome Pass」というカードが配られ、このカードがあれば地元のチームで5回まで無料で練習に参加することができる。友人を誘った選手にはバッティンググローブがもらうこともできる。

 ヨーロッパ諸国では、野球人気が少しずつ高まっている。プロリーグを保有するオランダやイタリアをはじめ、ドイツやチェコなどが近年国際大会に積極的に参加するといったような姿勢を見せている。この野球人気をより促進するためにKNBSBは2012年にはリトアニア、2013年にはスウェーデンで「BeeBall Clinic」を行っている。このようにオランダ国内だけではなく、ヨーロッパ諸国に向けてもBeeBallを通じて野球普及活動を行っている。

(大森雄貴 /yuki omori,、加藤勇太 / yuta katoh)

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