元プロも出場、阪神園芸から土の贈呈…全国に根付きつつあるマスターズ甲子園

駒田氏はマスターズで“甲子園初出場”

「高校野球は3年で終わるが、人生は長い。もう1回プレイボールを」と各高校の野球部同窓会に呼びかけた。高校硬式野球部に選手、マネージャーなど何らかの形でかかわった人なら、だれでも参加できる。高校野球では女子はプレーできないが、マスターズは女子もOK。

 全国で予選を行い、勝ち抜いたチームが甲子園に出場できる。各県の予選方法は自由。8チーム以上が参加することが条件だが、勝ち抜いたチームが出場してもよし、連合チームを組んでもよし。

 マスターズ甲子園の本戦は、トーナメントではなく1チーム1試合だけ。硬式球を使用し、27歳以上の投手は、2イニング以内。ベンチ入りはなんと最大50人。試合出場は、34歳以下は3回まで。35歳以上は、4回以降。試合時間は、1時間30分あるいは9イニングまで。勝負ではなく「楽しむこと」に徹した大会だ。

 一番大変なのは監督で、全員を出場させるのに苦労する。せっかく甲子園まで来て、出場できない選手は作れない。いちいち選手交代を審判に告げると時間がかかるので、監督はインカムでウグイス嬢に選手交代を直接連絡する。ちなみにウグイス嬢は、高校野球と同じ本物だ。

 実にあわただしいが、全員野球で制限時間内に9回までいった試合が2試合もあった。ストライク先行、ボールは投げない、初球から打つ、攻守交代も全力疾走。長ヶ原氏は「高野連の人が試合を見て、高校生よりきびきびしていた」と語ったというエピソードを紹介した。

 これまで出場校は130校だが、現役世代が一度も甲子園に出ていないのに、OBが先に出場した学校が33校。出場選手8402人のうち、甲子園初出場が7205人もいる。また女子マネージャーも試合に出場できる。「栄光を取り戻す」というよりは、「かつて果たせなかった夢の実現」、という意味合いが大きいようだ。プラカードを掲げるのも本物と同じ市立西宮高校のOG。高校時代に選考から漏れて、プラカードを持つことができなかったOGも出場するという。

 14年の大会で、ランニングホームランでない本物のホームランが20本。なかには、桜井商業OBとして出場した駒田徳広氏のように、プロ野球選手もいる。2000本安打を打った駒田氏は、プロでは何度も甲子園でプレーしているが、高校のユニフォームでの甲子園は初出場だった。

「競技としての野球」から「生涯野球」へ

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