勝負の野球から楽しむ野球へ 人気低迷に待ったをかける「オトナ野球」の魅力

勝敗にこだわらない野球、新しい価値基準とは

 スポーツ社会学の専門家として語ってくれたのは龍谷大学社会学部准教授の久保和之氏。2016年時点で、オリンピック、パラリンピックが90%以上、ラグビーワールドカップが60%以上認知されているのに2021年、関西で開催されるワールドマスターズゲームス関西は11%にとどまっている。しかし野球の人気は根強い。野球観戦経験(テレビを含む)は、女性が65.2%、男性77.7%と他のスポーツを圧倒している。

 またマスターズ甲子園だけでなく、還暦野球、全日本古希軟式野球大会など、各地で高齢者の野球大会が開かれている。

「スポーツは、社会的相互作用であって、みんなでやるのが楽しい。特にチームスポーツは仲間と楽しめる」

 久保氏はその楽しさを拡げるために、ユニフォームやルールも柔軟にすべきと訴える。そして勝敗以外の基準として「スプリット・オブ・ザ・ゲーム」を提案した。

 これは、
・ルールの理解
・ファール及び身体接触
・フェアプレー
・ポジティブな姿勢及びセルフマネジメント
・相手チームのスピリットと比較

 上記の基準でポイントをつけて評価してもいいのではないか、生涯スポーツとしての野球は勝敗にこだわる必要はない、などの新しい価値基準を提案した。

勝負だけではない、投げて打つ楽しみ

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