指導への戸惑い、個別の会話への飢え…調査で浮き彫り、高卒プロ選手の不安
現在は筑波大大学院で研究、元二塁手の大島公一氏が高卒選手にヒアリング
12月16、17日、神戸大学で行われた日本野球科学研究会第5回大会で、現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科で学ぶ、大島公一氏がショートプレゼンテーションで自身の研究発表をした。
大島氏は東京都出身。法政二高、法政大、日本生命を経て1992年ドラフト5位で近鉄に入団。95年にオリックスに移籍し、パ・リーグを代表する名二塁手としてベストナイン2回、ゴールデングラブ3回を受賞、2005年に楽天に移籍し、この年引退。通算1088安打をマークした。
引退翌年から10年にわたりオリックス・バファローズのコーチを務めていたが、指導者としての学びの必要性を感じて2016年に退団。日本ハム・吉井理人コーチの紹介で、吉井コーチも学んだ筑波大学大学院で学び直している。
今回の研究テーマは、「高校卒業プロ野球選手の育成環境に関する現状調査」。高卒で入団する選手は期待が集まる一方で、人間的にも成熟途中であり、経験が浅く適応能力が高いとは言えない。日々プレッシャーや不安を抱いている、その実態を探るために、NPB球団の高卒選手にヒヤリングを実施したという。
その結果から、野球技術は想像以上に高かったが、多かれ少なかれコーチの指導に戸惑った経験があり、選手によって練習の疲労度に違いがあったこと、さらに入団してから生活リズムをつかむまでに時間がかかり、1軍に行くと必要以上の緊張をしたことが分かった。また、選手は個別の会話に飢えている様子だったと報告されている。