繋がり続ける“師弟”の絆、ハム栗山監督が大谷からもらった球に込めた思い
「北海道に戻ってくる可能性は?」の質問に大谷は…
来季から米エンゼルスでプレーする大谷翔平投手が25日、札幌ドームで北海道のファンに別れを告げた。「別れではなく楽しい時間を過ごしてほしい」とファンに呼び掛けた通り、大谷は終始笑顔を浮かべたまま、約40分に及ぶ“さよならセレモニー”を行った。
2013年の日本ハム入団以来、5年間サポートしてくれたファンと記者に挨拶をしたいという、大谷の希望により実現した会見は「Long time no see(ご無沙汰しています)」という流ちょうな英語スピーチからスタート。まさかの展開に会場が大いに沸くと「笑ってもらってよかった」と目尻を下げた。
会見ではファンはもちろん、5年間育ててくれた日本ハムへの感謝の気持ち、メジャーに舞台を移しても変わらず世界一の選手を目指す意気込みを素直に伝えた。記者との質疑応答の最後に「北海道に再び戻ってくる可能性は?」と質問を受けると、言葉を選びながらも、退路は断って常に前進し続ける決意を口にした。
「(メジャーに)行くと決めた以上は、自分ができるまで頑張りたいなと思っていますし、みんなから一番だねと言われる選手を目指す上で、今に集中したい気持ちが一番かなと思っているので。どうなるか分からないですけど、今の時点ではエンゼルスにお世話になるので、そこで一生懸命1日1日頑張りたいなと思います」
そう語る大谷と会見に同席した日本ハムの栗山英樹監督は、背番号「17」がついたエンゼルスのユニフォームで臨んだ、日本での“ラスト投球”を本塁でガッチリつかんだ。試合後、大谷からプレゼントされた思い出のボールを監督室に飾るプランを明かすと、こう続けた。
「またあのボールを投げに来ると俺は信じているので。北海道に必ずいつか帰ってくると信じて待っています」
前代未聞の“二刀流実現”のために共に歩んだ指揮官は、大谷が夢破れて北海道に戻ってくることを望んでいるわけではない。記念品として送ったピッチャーズプレートにしたためられた「世界一の選手になると信じています」という壮行エールが全て。今後も大谷をサポートし続けながら、世界一と呼ばれる選手になった暁に、プロとしての第一歩を歩んだ“原点”に凱旋する日がやってくることを期待しているのだろう。
これからは別のチームでそれぞれに頂点を目指す日を迎えるが、5年間で築かれた“師弟”の絆は今後も太く長くつながっていく。
(Full-Count編集部)