50人のうち13人は殿堂入りならず 2000安打=「当確」ではない!?
エキスパート部門で選出される選手も、清原氏は候補から除外
殿堂入りしていない中で、最も安打数が多いのが土井正博氏。近鉄、西武などで活躍した。土井氏はコーチとしての勤務歴が長い。現役のコーチは候補に選出されないため、選出の機会を逸していた。昨年から中日ドラゴンズの打撃コーチを務めている。
プレーヤーズ部門で選に漏れた候補には、エキスパート部門で殿堂入りする可能性がある。土井氏はコーチを退任すれば、エキスパート部門で選出されるのではないか。
土井氏に次いで安打数が多い大島康徳氏は、2000本に加えて2500試合出場も達成しているが、タイトルは本塁打王が1回だけ、ベストナインには1度も選出されていない。こういう部分でアピールが少なかったと思われる。
これに次ぐ清原和博氏は、一昨年の覚せい剤所持、使用による逮捕、有罪確定によって候補から外された。
上記3人以外の10人の殿堂入りしていない2000本安打者も、獲得したタイトル数が少ない。松原誠氏は長く大洋ホエールズの中軸打者として活躍していたが、ポジションは三塁手と一塁手。長嶋茂雄、王貞治と完全にポジションが重なっていた、ベストナインにもダイヤモンドグラブ(現ゴールデングラブ)にも1度も選出されていない。同時代に有名選手がいたために、割を食った形だ。
加藤秀司氏は、首位打者2回、打点王3回、MVPも1回。選出されていない中では抜群の実績だ。同期入団の福本豊氏、山田久志氏とともに阪急の黄金時代を作った。しかし選出されていない。
野球殿堂は記者の投票で決まる。「プロ野球名球会」のように、明確な数字の基準がないために、どうしても運、不運ができてしまう。
前述のように、プレーヤー部門で選に漏れた候補には、エキスパート部門での選出の余地がある。今年のエキスパート部門には新井宏昌氏に加え、加藤秀司、柴田勲の両氏が候補に加わった。しかし他の10人は、エキスパート部門の候補にもなっていない。
野球人の最高の栄誉、野球殿堂入りをめぐっても、人間臭い様々なドラマがあるのだ。今季は、誰がこの栄誉に浴するのだろうか?
(広尾晃 / Koh Hiroo)