中村紀洋氏インタ(下)子供たちに注ぐ情熱、NPBオファー来ても「行かない」
指導に身を粉にする今、プロ野球復帰への気持ちは…
「昔は空き地が多かったけど今は整備されているし、あったとしても野球をしたら駄目という場所も多いですから。ボールを持ってキャッチボールもできない。必然的に野球人口が減るとは思いますね。だから、自分のできることで、野球がこんなに面白いんだという人が1人でも増えたら。1万人増やしたいなんて大層なことは思ってないので、少しでも野球が楽しいと思える子たちができれば、それだけで十分です」
現在はプロ野球を「全然、観ていない」と言うが、後進も気遣う。
「本当に完全燃焼して、やれるところまでとことんやってほしい。楽しんでやればファンにも伝わるし、それで観る側も楽しくなればファンも増えるでしょう」
気になる現役選手には、やはり振るバッターとして「柳田悠岐(福岡ソフトバンク)」を挙げた。
「怪我をするなよと思いながら。振ってもいいけど、ケアをしないといけない。若かったらできることもあるけど、26歳と29歳のスイングは絶対に変わるから。同じように考えて振っているようなら、怪我をして終わる。だから、ちょっとずつモデルチェンジが必要。自分は周りの人間に見せないようにして、どんどん振り回しながら変えていた」
中村氏の豪快なフルスイングは、もう見られないのだろうか。「プロ野球のチームからオファーが届いたら」との問いには即答だった。
「行かない。僕を信用、信頼して来てくれる生徒が1人か2人だとしても、子供たちが離れるまでは面倒を見たい。今は子供たちに、野球選手として一人前になる準備をさせないといけない。これからうまくなれる土台を早く作ってあげて、高校に送り出したい。プロ野球のチームから『戻ってこい』とオファーが来ても、行かないと思う。行ったとしても、その子たちのことが気になるから集中できない。一つのことに集中したいから、今は子供たちのためにどうしたらいいかを考えています」
「生涯現役」を掲げる中村氏は、これからも野球と向き合い続ける。指導の道でもフルスイングの信条を貫きながら。
(「パ・リーグ インサイト」藤原彬)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)