61年前に不安な気持ちでキャンプイン 史上最弱と評された“幻の球団”

合併問題が浮上、球団存続を呼びかけるも…

 4年目のキャンプイン直前の1月14日、パ・リーグのオーナー会議で、大映の永田雅一が突然、球団同士を合併させて、6球団にする構想を提案。下位に低迷する高橋ユニオンズは合併候補の筆頭と目された。高橋龍太郎オーナーは「皆さんの意向はわかるが、せめて今年だけは続けさせてほしい」と、球団存続を呼びかけた。高橋オーナーは佐々木信也の打率を毎日手帳につけて計算するなど、選手を我が子のように可愛がっていたのだ。

 選手には合併の話は知らされていなかったが、龍太郎の息子で球団代表の高橋敏夫はこのことを察していた。球団はラバーコートを新調、これを着た佐々木信也が報道陣が撮影した写真に納まるなど、明るい雰囲気でキャンプは行われた。しかし2月14日、報知新聞が「パ・リーグ、6球団に再編成」とスクープ。毎日、大映、高橋が合併して1球団になると報道された。特に歴史が浅く、選手層も薄い高橋の選手は合併してもほとんどの選手が解雇されるのではないか、と報道され、選手たちの不安は募る一方だった。

 そんな中、2月23日にオープン戦が始まる。高橋は23、24日と岡山県野球場で東映とダブルヘッダー4試合を行ったが、3-6、0-1、6-7、0-2で全敗する。ナインの気勢は上がらないまま、これが高橋ユニオンズの最後の試合となった。

 球界再編を言い出した大映の永田雅一は、他球団オーナーとの調整に失敗。まず毎日が合併交渉から離脱、今度は東映に話を持ち掛けるが、これも失敗。結局、大映と高橋の2チームだけが残り2月25日に正式発表。7球団の弊害を解消するために作られた第8球団、高橋だが、合併によってパ・リーグは再び7球団に戻ることになった。

1957年3月に解散式、高橋龍太郎オーナーが晩年に残した言葉

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