115キロ井上も「年間6盗塁」ノルマ 発想の転換で走塁徹底、新生ロッテの野望

115キロの井上にも「年間6個」のノルマ

 改革は足の速いタイプの選手だけがターゲットではない。プロ入り以来、盗塁を記録したことがない井上晴哉内野手に島田臨時コーチは「年間6個を目標に掲げてみよう。いきなり0個から6個と聞くと難しいかもしれない。しかし月1回と考えればどうだ? 君が6回走ったら、チームは絶対に活気づく。ベンチが盛り上がる。その6盗塁でマリーンズは6勝する。それくらい君の盗塁にはチームに勢いをもたらす価値があると私は思う」と発破をかけた。

 井上もまた115キロの巨体を揺さぶりながらキャンプ前半に行われた実戦形式の練習で2度、盗塁を決めた。その激走を見守っていた指揮官は「二塁に行こうという気持ちが素晴らしい。彼が年間に1個、2個盗塁をするチームになればチーム全体では10個、20個は増える結果になっているはず」と満足そうな表情を浮かべた。

 同じように様々な選手に具体的な盗塁数の指示を出していった。足の速い選手には50盗塁を期待した。20盗塁をノルマとした選手もいる。島田臨時コーチからも発破をかけられ、少し怖気づいた表情を見せたが、井上と同じように数字を紐解くと納得した。

「20盗塁をしろといきなり言われたら確かにビビるかもしれない。でも長いシーズンを考えたら1週間に1個で月4個。6か月で20個だ。どうだ? できそうだろう」

 追い詰められていた思考が、発想の転換でイッキに道が開けた。こうして選手たちに盗塁数へのモチベーションを作り上げ、走塁革命への興味を煽り、土台を作り上げていった。

「よく考えてください。プロ野球は打撃で7割失敗しても3割成功すれば一流と言われます。一般の企業の職務で社員が、そのような成功率の仕事をしていたらその会社は間違いなく倒産しますよ。発想を変えるだけで気持ちが楽になります。10割バッターなんていない。自分を追い詰めないで欲しい」

自宅のカレンダーにシール、気持ちに変化

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY