「野球環境は最高」― ホークスとジャイアンツを知る男が宮崎の地で思うこと

今も脳裏に浮かぶ盟友の姿、「宮崎に来るとより強く感じる」

「ホークスとジャイアンツの差は感じる時もある。もちろんジャイアンツの選手も練習するよ。最近では(坂本)勇人なんかよく練習するらしいよね。そういった選手がどんどん出てくれば若手も引っ張られる」

「ホークスは特にベテランがすごい。内川(聖一)やマッチ(松田宣浩)なんてバリバリのレギュラーで実績もあるのに本当、遅くまでやっている。そりゃあ、若手選手がサボるわけにはいかない。それが相乗効果になっている。強くなるわけだよ」

 宮崎と言えばやはり聞かなければならないことがある。巨人にコーチとして在籍した2010年、試合前練習中に倒れ帰らぬ人となった木村拓也さん。盟友でもあった木村さんの地元は宮崎。キャンプ中には食事にもよく行ったそうだ。

「いつでも忘れることはないよ。でも毎年、キャンプで宮崎に来るとより強く感じるよね。タクに負けないようにしっかりとしコーチにならないといけないよね」

 補強のみでなく育成選手の活躍など、選手強化に定評のあるホークス。練習量、そしてファーム組織がその原動力となっているのは間違いない。かつての友のように、宮崎の地に大道コーチの声が連日、響き渡っている。

「なんか今回の試合、盛り上がっているね。天気が心配だけど……」

 当日は天気もなんとか持ちこたえ、OB戦は最後まで行われ、盛り上がりを見せていた。大物OBの参加などで話題になったが、このイベントを支えたのは両チームの伝統と間違いなく宮崎の地元力だ。

「宮崎の野球環境は最高だよ。これからも毎年、ここに戻ってきたいね。それでもっともっと強いチームを作り上げたい」

 そう語ると大道コーチはグラウンドへ飛び出して行った。

(山岡則夫 / Norio Yamaoka)

山岡則夫 プロフィール
 1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌Ballpark Time!を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、製作するほか、多くの雑誌やホームページに寄稿している。最新刊は「岩隈久志のピッチングバイブル」、「躍進する広島カープを支える選手たち」(株式会社舵社)。Ballpark Time!オフィシャルページ(http://www.ballparktime.com)にて取材日記を定期的に更新中。

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