侍ジャパン稲葉監督が語る2020年への収穫と課題「選手よりこちら側の反省」
今回のチームが2020年東京五輪へ「軸」
稲葉監督としては、点差のある場面でいろいろな戦術を仕掛け、チームとしてはもちろん自身の“経験値”を上げておきたかったようだ。だが、国際大会では大量リードするチームが、むやみに盗塁を仕掛けたりすることは、対戦相手に対しての“不敬”と受け取られる。指揮官は、試合後に「相手チームに敬意も表さなければいけないというところで、なかなか気を遣ってやるべきことができなかったけど、あそこはやるべきだったのかな」と振り返った。
2020年に向けて「今回のチームを軸にする」とチーム編成の大枠を固めた指揮官が、就任以来一貫するのは、選手を決して批判しない姿勢だ。もちろん、経験がないまま代表監督という大役を請け負った背景もあるが、選手としてコーチとして代表チームに関わった経験によるところが大きいだろう。
侍ジャパンに選ばれる選手たちに才能はある。それを生かすも殺すも首脳陣次第。「選手というよりもこっち側のいろいろな反省点がありましたので、これは自分自身の中で非常に収穫になりました」という言葉からも、その姿勢がうかがえる。
2020年まで残された時間は2年。金メダル獲得という至上命題を果たすためにも、早い段階からチームの大枠を決め、より意思疎通の図りやすい環境を整えながら、チーム力の向上を図る稲葉ジャパン。ここからどういう形で成長、成熟していくかが楽しみだ。
(佐藤直子 / Naoko Sato)