主将で甲子園Vを遂げてから20年強 元阪神ドラ1が抱く夢の続き
ここまで巡り合った指導者、「その中で自分の思う“指導者像”ができてきた」
「いい指導者に巡り会えたことですね。中学時代もそうですし、高校では高嶋先生、阪神では吉田義男さん、野村さん、星野(仙一)さん、岡田(彰布)さん……楽天では再び野村さん、星野さん、マーティ・ブラウン氏を挟んで、巨人では原(辰徳)さん。指導者に恵まれたことは、自分の実力どうこうではないです。しかも、それぞれの指導者の方には特徴があって、色んなことを感じられた。そんな中で、自分の思う“指導者像”ができてきて、自分が選手だったらこんな言葉を掛けられたら嬉しいよなとか、自分の指導の中での手本にはなっています」
ただ、同じ野球でもプロとアマチュアでは指導の中でも根底にあるものは違う。高校野球は教育の一環であり、人格形成も求められる。技術だけではなく、そのプレーの先には何が必要かを教えなくてはならない。その難しさにぶち当たる時もあるが、何より一つの目標にひたむきに向かう後輩たちと触れ合うのは楽しい。
「後輩には自分が経験した後悔をしてもらいたくないんです。じゃあ自分が何かできるというわけではないけれど、OBとして何かしたいという思いがあったのが(指導者として母校に戻った)一番の理由です。色んな縁があってここに来てくれた以上は、いい思いをして欲しいですね」
主将として全国制覇した夏から20年が過ぎた。当時見せた穏やかな表情は今も変わっていない。暖かくも厳しい言葉を交えながら、後輩と共に今年から再び日本一を目指す。
(沢井史 / Fumi Sawai)