「母ちゃんのために…」ホークス甲斐が誓う活躍、ひたむきで実直なワケ
捕手に故障者が相次ぎ、かかる期待と負担は昨季以上になる
2018年のペナントレースが30日、ついに開幕する。2年連続の日本一を狙うのが、昨季王者・福岡ソフトバンクホークスだ。他球団を凌駕する充実した選手層を誇り、今季も様々なメディアで目にする評論家、解説者たちの順位予想ではパ・リーグ1位に推す声が圧倒的に多い。打線には球界を代表する打者たちが並び、守護神サファテを中心としたリリーフ陣も強力。和田毅の復帰が遅れている先発陣も、他球団に比べれば人数は豊富だ。
開幕を翌日に控えた29日、全体練習を終えた工藤公康監督は期待する選手として1人の男の名前を挙げた。昨季、急成長を遂げた甲斐拓也捕手だ。「甲斐くんにはもう1つ成長して、大きくなってもらいたい。高谷くんが戻ってくるまでは1人で頑張るんだという気持ちで頑張ってほしい」。キャンプから怪我人が相次いだ捕手陣。高谷裕亮、栗原陵矢の2人が負傷で離脱し、指揮官は、甲斐と育成から支配下に昇格させた堀内汰門の捕手2人体制で開幕を迎えることを決断した。
2人体制で開幕することを考えると、高谷の復帰までは、ほぼ全試合全イニングで甲斐がマスクを被ることになるだろう。昨季、自己最多の103試合に出場した甲斐にかかる期待、負担、そして託される役割は昨季の飛にならないほど大きなものになるだろう。とはいえ、これは大チャンスだ。今季の目標に「真の要になる」と掲げていただけに、ベテラン高谷の復帰までに文句のない結果、チームからの信頼を勝ち取れば、その目標に大きく近づくことができる。
ひたむきで、実直な姿がファンの心をつかんできた。去年の成績には一切満足することはなく、さらに成長することを心に誓う。まだ足りない――。その根底には、ある人への“恩返し”の思いがあるのだ。