イチローの262安打を見守った指揮官が語る「美しい記憶」とある“心残り“
スロースターターのイチロー「4月に打てていれば、もっと安打記録は伸びていた」
「彼との美しい記憶はたくさんあるよ。一番はやはり『258』じゃないかな。最多安打記録を更新した時には、一塁上の彼を真っ先に祝福したんだ。あの瞬間は今でも忘れられないよ」
2004年10月1日の本拠地レンジャーズ戦。歴史的な一戦で、イチローは第1打席にレフト前ヒットを放ち、84年間破られることのなかった名手ジョージ・シスラーの年間最多記録257本に並ぶと、スタンドの観衆が総立ちで迎えた第2打席でセンター前にヒットを放った。
258本として、シーズン最多安打記録を更新。花火に加え、スタンディングオベーションが巻き起こる感動の場面で、メルビン監督も一塁上の英雄に駆け寄り、祝福していた。
イチローが記録した年間262安打は今後破られることはないとも言われる金字塔だが、メルビン監督には心残りもあるという。
「あのシーズン、イチローはスロースターターだったんだ。 特に4月の数字がそこまで良くなくてね。4月に打てていれば、もっと早く達成していただろうし、もっと安打記録は伸びていたかもしれないね」
元々スロースターターのイチローだが、2004年の4月の月間打率は.255。23試合で26安打という成績だった。5月は月間50安打と量産したが、4月にペースが上がっていれば、10月1日よりも早く偉業達成は実現したのではないか、というのだ。
現在アスレチックスを率いるメルビン監督にとっては、同地区のライバル球団に戻ってきたイチロー。ただ、その活躍を願う気持ちに変わりはないという。
「イチローが少なくとも50歳までプレーしたいと言っていたことは知っている。44歳でもフィットしている。あの体型を維持できている彼なら可能だと思う。あそこまで厳しく節制して、高いレベルでコンディションを維持している選手は見たことないんだよ。私も彼の軌跡を見守りたいと思うんだ」
イチローの挑戦をいつまでも応援するつもりだと語るメルビン監督。その信頼関係もいつまでも変わらない。
(Full-Count編集部)