【1軍をマクレ】9割9分反対されたプロの道… ロッテ育成出身22歳が“ポジティブ父”に恩返し
育成から1年で支配下登録「周りの皆さんが押し上げてくれた」
高校時代は甲子園出場こそ果たせなかったが、通算46本塁打と強打で鳴らした。少なからずパワーヒッターの自負を持ってプロ入りしたが、ベテラン野手の打撃練習を目の当たりにし、いきなり出鼻をくじかれた。
「育成で入って、もちろん僕が一番ヘタクソだったんですけど、左打者の自分がライトに引っ張った打球よりも、右打者の先輩が流した打球の方が飛んでいたんです。とんでもないところに来たな、と思って(笑)。どう考えても敵うわけないと思いました」
だが、ここで「オヤジ譲りでスーパーポジティブなんです」という性格が発揮される。
「ピッチャーと対戦した時に『あれ? 案外ボールが見えてるな』って。まず、そこに少し手応えがあったんです。その時に僕は一番年下の18歳で、先輩方の中には30歳を越える人もいた。確かにバッティング練習とかすごいし、試合でもバンバン打つんですけど、『自分が30歳を越えた時にああいう風になっていればいいのかな』って思ったんです。この選手たちが18歳の時はどうだったんだろうって。そもそも、僕がカンカン打てていたらドラフト1位で入団してるはず。そう自分の中で考えたら、変な焦りみたいなものが消えました」
1年目の2014年は育成として2軍で60試合に出場し、打率.253を記録。「もう1年育成かな」と思っていたというが、秋季キャンプは1軍に同行。翌春のキャンプでも与えられたチャンスで結果を出し、3月に支配下登録された。「支配下は自分で勝ち取ったというより、スタッフや首脳陣を含めて周りの皆さんが支配下に押し上げてくれるような形で使って下さった」と感謝を忘れない。
2015年に2軍戦で顔面に死球を受けるアクシデントに見舞われたが、ここまで3シーズンで1軍出場は合計30試合。「ユニホームを着ているからには1軍でやりたい」という肘井は、「僕の長所はバッティング。そこを磨かないと上(1軍)で勝負できないと思っています」と断言する。今季は「外角球を反対方向へ強く打ち返すこと」、そして三振を減らすため「2ストライクからのアプローチ」に意識を置きながら打席に立つ。