「私はプロ向きじゃなかった」― アマチュアで再出発、25歳が追い求める夢

世界大会の怖さ痛感「30分間ずっと守っていました」

 二塁手として過去2回活躍した実績があったとはいえ、昨年11月に行われた日本代表のトライアウトを突破できる自信はなかったという。「1回外に出ているし、どうなるかわからないと不安だったので、うれしかったです」。だからこそ、このチームの役に立ちたいという思いは人一倍だ。

 高いレベルでもまれたプロでの2年間は決して無駄ではなかった。絶対的な自信を持っていた守備で、打球が飛んだ瞬間に足が止まる捕球イップスに苦しんだ時期もあったが、苦手だった打撃が向上すると、鉄壁の守備も戻ってきた。「バッティングはずっとすり足だったのですが、いいバッターが足を上げているのを見て、盗んでやってみようと。やっているうちに結果が出て、タイミングをつかみました」と攻守ともに4年前よりもレベルアップして戻ってきた。

 若いチームにあって、世界大会の怖さを知る貴重な選手だ。12年カナダ大会でのカナダ戦。9-1と大量リードしていたにもかかわらず、2点差まで猛追された場面は今も脳裏に焼き付いている。「どのピッチャーが投げても、全部ヒットになって、30分間ずっと守っていました。エラーは一つもありませんでした。最後は里さんが投げて抑えましたが、海外の選手は乗せると怖い。何点リードがあっても怖いです」と話す。

 様々な経験を携え、リーダー格で臨むことになる8月の大会。「絶対に負けられない。どんな勝ち方をしても6連覇」と力を込める。「まずは監督がやりたい野球を一番に理解して、みんなに伝えていきたい。下の子よりもめっちゃ声を出して引っ張る」。強い責任感と広い視野でチームの先頭を走っている。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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