「スポーツを様々なもののプラットホームに」米で進化するスタジアムの存在意義

LED照明を使うメリットは球場コスト削減だけではない

 ヤンキースのみでなく近年、米国のスポーツ界で重要視されているのが照明技術である。ランニングコストを抑えられ、点灯時間などの早いLED照明がトレンドになっている。今フォーラムには米国でのトップシェアを誇る照明の企業PLANLED社CEOジョン・ウォーイング氏も来場した。

「LED開発のきっかけとなったのはシアトルにいたから。シアトルは年間200日以上の雨季があり日照時間が短い。よって冬には鬱状態になる人が増えるというデータがある。体調など多くのものに影響があるのが目の機能。そこに注目してLEDを開発することにした」

「例えば現在、NBAデンバー・ナゲッツが使用するペプシセンターは、90%近く自然光と変わらない照明となっている。野球界でもシアトルのセーフコフィールドをスタートにアマで使用するものも含め、どんどん広がりをみせています」

 ヤンキースタジアムの照明もちろんLEDを使用。ビューアー氏は「シアトルの関係者にも多くの話を伺って採用しました。LEDにすることでのメリットは選手のパフォーマンス向上や電力消費量など球場コスト削減だけでない。スタンドのファンがプレーを見やすくなる。近年、視聴者が多くなったスマートフォンなどタブレットでも鮮明な画像を見られる。そして野球のみでなく、サッカーやフットボールなどの開催への対応もスムーズにできる。さまざまな利益をそれぞれが享受することが可能なんです」と話した。

 ZOZOマリンやヤフオクドームなど日本の球場も場内照明を次々とLED化している。現状、そこで語られるのは選手のパフォーマンスや演出面の充実が多い。これは日本人そのものが環境問題に対しての意識が極めて希薄だったこともあるだろう。しかし、その先にはもっと崇高なものが存在している。

「スポーツは人を動かす大きなもの」

 GSAジャパン代表理事の澤田陽樹氏は何度も繰り返した。今後、野球界のみならず日本スポーツ界では、GSAが掲げる「スポーツを様々なもののプラットホームに」というビジョンがもっと重要視されていくことだろう。

(山岡則夫 / Norio Yamaoka)

山岡則夫 プロフィール
 1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌Ballpark Time!を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、製作するほか、多くの雑誌やホームページに寄稿している。最新刊は「岩隈久志のピッチングバイブル」、「躍進する広島カープを支える選手たち」(株式会社舵社)。Ballpark Time!オフィシャルページ(http://www.ballparktime.com)にて取材日記を定期的に更新中。

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