プラスに捉える甲子園優勝投手の肩書き 昨夏V投手が大学で踏み出した一歩

三浦、佐川、椋木らと切磋琢磨「みんなプロに行ける可能性がある」

 切磋琢磨できる同級生の存在も心強い。この日、綱脇の後を受け、4回の1イニングを投げたのが三浦瑞樹投手。盛岡大付を3季連続で甲子園出場に導き、昨年は春夏連続で8強入り。大学に入り、最速が3キロアップした直球を中心に1安打無失点で、こちらもリーグデビューを果たした。5回から登板した椋木蓮投手(高川学園)はこの日で6試合目の登板。やはり高校時代から球速が5キロ伸び、サイドハンドから最速147キロを繰り出す。リーグ戦では最長となる3イニングを2安打無失点で切り抜けた。

 また、この日の登板はなかったが、佐川光明投手(仙台育英)も強いストレートを武器にすでに2試合に登板している。「みんな仲がいいのでライバルという感じではない」と綱脇。野手は1つのポジションに1人が固定される場合が多いが、大塚監督から「ピッチャーはみんな良かったら、みんなプロに行ける可能性がある」と話されたと言う。互いに高め合い、ともに夢を追う仲間だ。その大塚監督は「綱脇、佐川、三浦は大舞台を経験して肝も座っている。その経験値はお金では買えないこと。(椋木も含め)4人ともいいピッチャーなので、経験を積ませながら大事に大きく育てたい」と話した。

 東北福祉大は昨秋、2014年春のプレーオフを除いて75季ぶりの3位に沈んだ。大学選手権で優勝2回、明治神宮大会でも5度の決勝進出を果たし、阪神・金本知憲監督や“大魔神”こと佐々木主浩氏(現野球解説者)、斎藤隆氏(現パドレス球団アドバイザー)ら、これまで48人のプロ野球選手を輩出した名門にとっては厳しい現実だった。その悔しさを味わい、一冬を越えた上級生と勢いのあるルーキーたちが力を合わせ、2季ぶり69度目のリーグ優勝に向かっている。「先輩たちは全国大会に行くという強い気持ちを持っている。自分たち1年生も同じ思い。チームの力になれるように頑張っていきたい」と誓った綱脇。舞台を大学野球に移し、第一歩を踏み出した。

(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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