吉井コーチも「良くやってる」 ハムのブルペン支える新人が活躍できるワケ
打たれても引きずらないメンタルの強さ「すぐに取り返すチャンスがありますから」
気持ちの強さは、リリーフ向き。打たれたことを引きずることはない。「ダメでも、すぐに取り返すチャンスがありますから」とサラリ。一発勝負のトーナメントが主戦場だった社会人時代には、悔しくて眠れない日もあったという。「今はそういうことはないです。トーナメントは切り替えるということもなく、負けたら終わり。今は反省できるので、それを次に生かせばいいと思っています」とプロで生き抜くための考え方をしっかり持っている。
実際、先月29日のロッテ戦では1点リードの6回2死一塁で登板し、2連打を許してプロ初黒星を喫した。だが、翌日30日のロッテ戦では2-4の7回に登板して1回を無安打無失点とすぐさま汚名を返上した。前日逆転の適時三塁打を許したロッテのルーキー・藤岡裕大内野手もきっちり左飛に打ち取った。
都市対抗と日本選手権という2大大会にピークを合わせる社会人と異なり、プロでは6か月という長丁場での体調管理が求められる。開幕から1か月。西村はここまでうまく乗り切っている。「いつコンディションを崩すかなと思っていた」と心配していた吉井投手コーチも「本当によくやっている」と目を細める。
「投げない時にどれだけ疲れを残さないかを考えています。移動先ではファンの方にもらった入浴剤を使って30分から1時間お風呂に浸かっています。お酒は弱いので、誘われた時に行く程度。休みはしっかり体を休めるようにしています。ここまで疲れは感じていないですが、どこかでへばると思います。その時にどうするかですね」と先を見据えてのコンディション維持に余念がない。
目指すは新人王だ。「手応えですか? このまま、いいピッチングを続けていけたら…。まずは投げたら自分の試合を全うするだけです」と力を込める。開幕から抹消されることなくずっと1軍にいるリリーフは、宮西、トンキン、石川直と西村の4人だけ。完投勝利や殊勲打といったド派手な活躍で表舞台に登場することはないが、チームにとって欠かせぬ戦力になっている。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)