タイトル獲得へ、西武山川は「パ・リーグ本塁打王のジンクス」打ち破れるか

「優れたホームランバッター」か、それ以上に稀有な「真の四番」か…

 とはいえ、リーグ最多のホームランを記録した38人で、3・4月に5本未満だった打者も8人しかおらず、出遅れがレース展開に影響することも、また事実だ。山川のチームメイトである中村剛也内野手は12年→1本、14年→1本、とスロースターターの気質を覗かせながら、最後はまくってタイトル争いを制したが、例外的な存在と言える。

 レギュラー定着を掲げて今季に臨み、必死の形相でプレーする山川は現在の勢いを持続できるだろうか。過去に序盤で爆発した打者たちと同様に、今後は厳しいマークが予想される。「ホームランはピッチャーが生み出すもの」の考え方に沿えば、極端な話、スタンドイン不可能なボールをピッチャーが投じ続ければ、ホームランバッターは商売あがったりだ。

 ただ、ここで目を付けたいのは、山川がもうひとつの目標として「OPS1.000」を公言していることだ。長打率と出塁率の和で求められるOPSを高く維持するには、長打と同時に出塁能力も求められる。

 対戦するチームのバッテリーは今後、長打を警戒して際どいコースに投げ込む場面が増えるかもしれない。だが、山川が「長打にできるボールが来ないなら四球を選ぶ」と割り切れば、今のペースで本塁打の数が伸び続けずともチームの得点増に貢献できる。それは、埼玉西武の打線全体が極めて高い打力を誇るからだ。

 自らのバットで得点を叩き出せるのが一流の打者なら、バットを振らずして打線全体を活性化させられる存在は超一流と呼べるかもしれない。「優れたホームランバッター」か、それ以上に稀有な「真の四番」か――。結論は数年先を待つ必要があるかもしれないが、過去のジンクスを吹き飛ばせば、より一層の箔が付くことに間違いはない。

【動画】好調なチームを牽引する大活躍! 西武・山川穂高の豪快ホームラン集!

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